最新記事

テロ

フィリピン、自爆テロは宗教間抗争へ? 教会自爆テロの犯行グループ5人逮捕、14人追跡中

2019年2月7日(木)11時45分
大塚智彦(PanAsiaNews)

逮捕された自爆テロ犯行グループのメンバー (c) News5Everywhere / YouTube

<1月末に発生した爆弾テロ事件は犯行グループの一部が自ら出頭したものの、新たなテロ発生のリスクは依然として残ったままだ>

フィリピン治安当局は1月27日に南部スールー州ホロのカトリック教会で起きた爆弾テロ事件に関連して2月6日までに犯行グループの一部とみられる5人を逮捕し、さらに14人の行方を追っていることを明らかにした。

フィリピンの地元紙「フィリピン・スター」電子版や「インクワイアラー」などの報道を総合すると、犯行現場付近にあった監視カメラの映像や目撃者情報、さらに治安当局の内偵捜査などから爆弾テロ事件にフィリピンのイスラム教過激派組織「アブサヤフ」が深く関連していることが判明。

関係した疑いのある「アブサヤフ」のメンバーを特定して大規模な捜索を続けていたところ2月2日以降、5人が次々と出頭し、身柄を拘束された。

5人は主犯格の1人であるムカマール・ペイ(別名カマ)、アルナジ・ガジャリ(同アパ)、ラジャン・ガジャリ、カイサル・ガジャリ(同イサル)、サイド・アリ(同パポン)各容疑者で、テロ実行犯に爆弾製造や教会への道案内、作戦立案、準備などで協力した疑いがもたれている。

治安当局はこの5人のほかにさらに14人の「アブサヤフ」関係者を特定して現在鋭意行方を追っているとしている。

フィリピン司法省のマーク・ペレテ副長官は民放「GMAニュース」に対して「容疑者5人は殺人と殺人未遂の容疑で起訴、裁判にかけられることになる」と述べている。

実行犯はインドネシア人で自爆

死者22人、負傷者100人以上という被害を出した今回の爆弾テロ事件では、フィリピン治安当局が実行犯をインドネシア人の男女で自爆テロによる犯行との見方を強め、エドアルド・アニョ内務・地方自治相は「自爆テロであると正式に確認した」と発表している。

ただ、自爆テロ実行犯のインドネシア人に関しては身元が依然不明確で、バラバラになった犯人とみられる遺体のDNA鑑定を進めている。

インドネシア政府もこれまでのところ「情報が錯綜しており、確定的なことはまだ何もない段階でインドネシア人が実行犯のような決めつけをするべきではない」(ウィラント政治司法治安担当調整相)と慎重な姿勢を見せて、フィリピン当局の捜査を見守っている。インドネシア外務省も「フィリピン側からテロ実行犯に関する正式の照会も情報も来ていない」としたうえで、必要ならインドネシア側から捜査員をフィリピンに派遣することも検討したいとしており、国籍を含めた身元の特定にはなお時間がかかるとの見方が強い。

逮捕した5人の容疑者の裁判については、容疑者の安全確保のためにもマニラに移送して裁判をするべきとの声もでている。しかし司法関係者や地元ホロの検察庁などでは「起訴、公判となると証拠や証人が必要であり、そうなると地元での裁判の方が便利である」との判断から公判はホロ地方裁判所で行われる公算が高くなっているという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米ミネアポリスで連邦捜査官が市民射殺 移民取り締ま

ワールド

米ロとウクライナの高官協議終了、2月1日に再協議へ

ワールド

トランプ氏、中国との貿易協定巡りカナダに警告 「1

ワールド

アングル:中国で婚姻数回復傾向続く、ドレス業界が期
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 2
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味を帯びる「超高齢化」による「中国社会崩壊」
  • 3
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投稿したアメリカを嘲笑する動画にネット爆笑
  • 4
    40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産…
  • 5
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 6
    サーモンとマグロは要注意...輸入魚に潜む「永遠の化…
  • 7
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    トランプを支配する「サムライ・ニッポン」的価値観…
  • 10
    「これは違法レベル...」飛行機で「史上最悪のマナー…
  • 1
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 2
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 3
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味を帯びる「超高齢化」による「中国社会崩壊」
  • 4
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 5
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 6
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 7
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 8
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 9
    韓国が「モンスター」ミサイルを実戦配備 北朝鮮の…
  • 10
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 4
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中