最新記事

ロシア疑惑

トランプの盟友、ロシア疑惑巡り偽証罪で米特別検察官が起訴

2019年1月26日(土)08時13分

2016年米大統領選のロシア関与疑惑で、大陪審は捜査妨害や証人買収および偽証罪で、トランプ氏の長年の盟友で16年陣営顧問のロジャー・ストーン被告を起訴した。被告を乗せた車両がフロリダ州の連邦裁判所に到着(2019年 ロイター/Joe Skipper)

2016年米大統領選のロシア関与疑惑で、大陪審は25日までに、捜査妨害や証人買収、偽証罪など7件の罪で、トランプ氏の長年の盟友で2016年陣営顧問のロジャー・ストーン被告(66)を起訴した。

ストーン被告は同日未明、逮捕された。大統領選を巡るロシア疑惑を捜査するモラー特別検察官の事務所が起訴状を公表した。

起訴状によると、内部告発サイト「ウィキリークス」が盗難被害に遭った民主党のメールを公開する計画をあらかじめ知っていた可能性を他人にほのめかした件などで議会で虚偽証言を行ったという。

陣営幹部が16年10月、ストーン被告に対し、ウィキリークスとされる「ある組織」に今後のメール公開予定を問い合わせるようメールで求めた。ストーン被告は、同組織が毎週相当数のメールを公開すると返信した。

関係者によると、この陣営幹部は選対本部長を務めたスティーブ・バノン氏だという。バノン氏はコメントの要請に応じなかった。

起訴状は、ストーン被告がある組織やそのトップ、盗まれたメール所持に関して選挙期間中に触れたとされる多数のメールやテキストメッセージに詳しく言及。被告は虚偽証言を行った際、なお多くの通信記録を持っていたとしている。

また、ある証人に虚偽証言や議会調査に情報を公開しないよう説得を試みたとされる。

これに対しストーン被告は無実を主張。記者団に対し、逮捕は政治的な動機に基づくとした上で「2年間の捜査の末、この日明らかとなった起訴理由は、ロシアとの共謀やウィキリークスとの協力、その他16年の大統領選に絡む不正行為のいずれとも全く関係がない」と批判した。トランプ大統領に不利な証言はしないとも明言した。

ホワイトハウスのサンダーズ報道官は25日、ストーン被告の起訴とトランプ大統領・政権は無関係との認識を示した。CNNに「大統領は何も悪いことをしていない」と述べた。

トランプ氏が陣営幹部に対し、盗まれたメールについてストーン被告に連絡を取るよう指示したのかと繰り返し問われたが、サンダーズ氏は起訴状を読んでいないなどとして直接の回答を避けた。

トランプ大統領はツイッターで「わが国の歴史における最大の魔女狩りだ!共謀はない!」と述べた。

ストーン被告の弁護士、グラント・スミス氏は起訴に対し強く抗議するとの見解を示した。

ストーン被告はフロリダ州フォートローダーデールの連邦裁判所に出廷。判事はストーン被告を保釈金25万ドルで釈放し、南フロリダ、ニューヨーク市、ワシントンへの移動制限を命じた。

ウィキリークスにコメントを求めたが回答はなかった。

[ニューヨーク/ワシントン 25日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

202404300507issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年4月30日/5月7日号(4月23日発売)は「世界が愛した日本アニメ30」特集。ジブリのほか、『鬼滅の刃』『AKIRA』『ドラゴンボール』『千年女優』『君の名は。』……[PLUS]北米を席巻する日本マンガ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

伊ベネチア、観光客から入市料徴収 オーバーツーリズ

ビジネス

日産、中国向けコンセプトカー4車種公開 巻き返しへ

ワールド

訪中のブリンケン米国務長官、上海市トップと会談

ビジネス

独VW、中国市場シェアは2030年まで昨年並み維持
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 9

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 10

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中