最新記事

マイクロプラスチック

コンタクトレンズを流し捨てている人多数で、英国で無料リサイクル開始

2019年1月25日(金)16時15分
松丸さとみ

20%の人がコンタクトレンズをトイレやシンクに流して捨てていた scyther5-iStock

<英国の調査では、20%の人が使用済みのコンタクトレンズをトイレやシンクに流して捨てていることが分かり、無料でリサイクルできるプログラムが始まった>

英国では5人に1人がレンズをトイレやシンクに......

最近はコンタクトレンズといえば従来型の数年使い続けるタイプではなく、1日や2週間、または1カ月で使い捨てるものが主流だ(メニコン「コンタクトレンズ博物誌」)。プラスチックが海を汚すとして脱プラスチックが進むなか、毎日小さいプラスチック片をゴミ箱に捨てるのに罪悪感を覚える人は少なくないのではないだろうか。

医療メーカーのジョンソン・エンド・ジョンソン・ビジョンによると、英国でコンタクトレンズを使用している人の数は現在370万人。しかし同社が昨年11月に英国で1000人を対象に行なった調査では、20%の人が使用済みのコンタクトレンズをトイレやシンクに流して捨てていることが分かった。370万人の20%で計算すると、ざっと74万人が洗面所でレンズを流していることになる。

アキュビュー(ジョンソン・エンド・ジョンソンのコンタクトレンズ・ブランド)が制作した動画によると、英国でトイレに流されたりゴミとして廃棄されたりしているコンタクトレンズの数は、年間で7億5000万枚に上るという。

どのメーカーのレンズでも無料で回収

そんな中、英国で画期的なプログラムがスタートした。コンタクトレンズを無料でリサイクルできることになったのだ。英国では初めての試みで、ジョンソン・エンド・ジョンソン・ビジョンが、リサイクル不可能とされたものをリサイクルする活動を行なっている米国の社会的企業テラサイクルと協業で行う。

使い捨てのソフトレンズであればどのブランドでもよく、レンズが入っているブリスター・パッケージと呼ばれるプラスチックのケースと、ホイル(フタ部分)もリサイクル対象となる。利用者は薬局ブーツが展開する眼鏡店ブーツ・オプティシャンなどに設置してある回収ボックスに入れるか、郵送料不要のラベルを貼って所定の場所に送付する。テラサイクルによると現在のところ回収できる場所は英国全土で600カ所ほどのようだが、ジョンソン・エンド・ジョンソン・ビジョンは、将来的には回収ポイントを1000カ所以上設置したい考えだ。

ジョンソン・エンド・ジョンソン・ビジョンの発表文によると、このプログラムはシンプルで実用的な回収法を提供することで、ごみ廃棄場や海や川などのプラスチック・ゴミを減らすことを目的としている。

テラサイクルによると、集められたレンズは、レンズ、ブリスター、ホイルに分別され、洗浄後に細かく粉砕されたあと、圧縮して粉末状になる。最終的に、押出成形でアウトドア用の家具やプラスチック木材として活用されることになるという。

なお、テラサイクルは米国でもすでに同様の無料リサイクル活動を2016年から行なっているが、米国の場合はボシュロム製品のみが対象だ。

Don't Flush Your Contact Lenses!-LiveScience

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

中国、EU産豚肉関税を引き下げ 1年半の調査期間経

ビジネス

英失業率、8─10月は5.1%へ上昇 賃金の伸び鈍

ビジネス

ユーロ圏総合PMI、12月速報値は51.9 3カ月

ビジネス

仏総合PMI、12月速報50.1に低下 50に迫る
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連疾患に挑む新アプローチ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    アダルトコンテンツ制作の疑い...英女性がインドネシ…
  • 9
    「なぜ便器に?」62歳の女性が真夜中のトイレで見つ…
  • 10
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 8
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 9
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中