最新記事

アメリカ政治

米商務長官、政府機関閉鎖で欠勤の職員を「嘆かわしい、ローン利用すべき」 民主党は猛批判

2019年1月25日(金)12時56分

ロス米商務長官(写真)は、1カ月超に及ぶ政府機関一時閉鎖の影響を受けている職員は、生活費支払いのためにローンを利用すべきとの認識を示し、職員がやりくりに困っている理由が理解できないとした。写真はワシントンで昨年10月撮影(2019年 ロイター/Mary F. Calvert)

ロス米商務長官は24日、1カ月超に及ぶ政府機関一時閉鎖の影響を受けている職員は、生活費支払いのためにローンを利用すべきとの認識を示し、職員がやりくりに困っている理由が理解できないとした。

ロス長官は資産家で、商務長官就任前は著名投資家として知られていた。

政府機関閉鎖によって給与未払いが続く中、一部職員が欠勤していることについて、ロス長官はCNBCに対し「嘆かわしい」とし、金に困っていることを理由に欠勤することは「正当ではない」と語った。

さらに「銀行や信用組合は影響を受けている政府機関職員に信用枠を提供すべき」と促したほか、トランプ大統領が前週、政府機関閉鎖の影響を受けている約80万人の職員に給与を遡及的に支払う措置を認める法案に署名したことに言及し、「給与は後に支払われる」と語った。

同長官は「彼らがローンを利用できないかもしれないという本当の理由はないし、金融機関は多くのローン広告を出している」と指摘した上で「本当にやりくりに困る理由は、本当は存在しない」と述べた。「少しの利息は払わなければならないかもしれないが」とも付け加えた。

これに対しトランプ大統領は、ホワイトハウスで記者団に対し、コメントは聞いていないとしつつ「理解はする」と発言。「おそらく彼は違う言い方をすべきだった」と述べた上で「だがウィルバー(・ロス長官)は素晴らしい仕事をしている、とあなたがたに言っておく」と述べた。

80万という人数は、連邦政府職員のおよそ4分の1。多くは失業扶助、フードバンクなどの利用で日々の生活をしのいでいる。

民主党は、ロス長官のコメントを批判。ウェクストン下院議員は「政権幹部から大統領までが、この地域における普通の人々の日常生活に対する共感と理解を完全に欠いていることを示す、非常に顕著な証拠の1つだ」と主張した。

ペロシ下院議長は記者会見で「これは『パンがなければケーキを食べればいいではないか』というような態度なのか、父親に無心しろということなのか」と批判した。

[ワシントン 24日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 世界最高の投手
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月18日号(11月11日発売)は「世界最高の投手」特集。[保存版]日本最高の投手がMLB最高の投手に―― 全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の2025年

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

26年春闘の要求、昨年より下向きベクトルで臨む選択

ビジネス

仏CPI、10月前年比+0.8%に減速 速報から下

ビジネス

内田日銀副総裁が白血病治療で入院、12月政策会合に

ビジネス

野村HD、英運用会社と提携 プライベート融資ファン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    文化の「魔改造」が得意な日本人は、外国人問題を乗…
  • 5
    「水爆弾」の恐怖...規模は「三峡ダムの3倍」、中国…
  • 6
    『トイ・ストーリー4』は「無かったコト」に?...新…
  • 7
    中国が進める「巨大ダム計画」の矛盾...グリーンでも…
  • 8
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 9
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 10
    ファン激怒...『スター・ウォーズ』人気キャラの続編…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 8
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 9
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 10
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中