最新記事

動物

米空港の安全を守るワンコ、垂れ耳が求められるワケとは

2019年1月11日(金)17時30分
松丸さとみ

米運輸保安局(TSA)は、探知犬に「垂れ耳」の犬種を増やしていく意向 TSA/Instagram

立ち耳の犬は怖い?

米運輸保安局(TSA)はこのほど、同局で活動している探知犬について、「親しみやすい」という理由から「垂れ耳」の犬種を増やしていく意向を明らかにした。TSAは、空港を中心に鉄道やイベント会場など人が集まる場所で、爆発物などの不審物を見つける保安検査を行うなどで安全性の確保を担っている。

米経済誌のワシントン・イグザミナーによると、TSAのデビッド・ペコスク長官は先月、ワシントン・ダレス空港で行われたイベントで、TSAでの探知犬プログラムを拡大したい意向を明らかにした。その際に、TSAでは意図的に垂れ耳の犬を増やすよう取り組んできたと説明。「子供たちを怖がらせない」ため、乗客からの反応も垂れ耳犬への方がいいと加えた。

TSAのマイケル・ビレロ補佐官は米ABCニュースに対し、「立ち耳の犬を見ると、軍用犬や警察犬だと思うからだと思います」と説明している。

ワシントン・イグザミナーによると、TSAで活動している犬は、ラブラドール・レトリバー、ジャーマン・ショートヘアード・ポインター、ジャーマン・ワイアーヘアード・ポインター、ビズラー、ゴールデン・レトリバーの5つの垂れ耳犬種と、ジャーマン・シェパードとベルジアン・マリノアの2つの立ち耳犬種で、合計1200頭ほど。うち垂れ耳は80%、立ち耳は20%の割合だ。しかし昨年は、高齢から引退する犬が毎日のようにいたという。そこでTSAはこの機会を使い、新たに採用する探知犬は垂れ耳にしているというわけだ。

1200頭のうち3分の1が、空港で乗客の検査をする役割を担っており、この業務を与えられているのはほとんどが垂れ耳の犬種だという。

キツネも家畜化が進み人馴れすると耳が垂れる

しかし米ニューヨーク・タイムズ紙によると、TSAのこの方針に不満をあらわにする人もいるようだ。

動物愛護団体モリス・アニマル・レフュージはツイッターに、ディンゴという名が付いた立ち耳の大型犬の写真と共に、「こんなにかわいいディンゴは、TSAがなぜ自分みたいな立ち耳の犬が『子供を怖がらせる』と言って、垂れ耳の犬を欲しがるのか理解できません」と投稿した。

ABC7 News Bay Area-Youtube
今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米ウクライナ首脳、日本時間29日未明に会談 和平巡

ワールド

訂正-カナダ首相、対ウクライナ25億加ドル追加支援

ワールド

ナイジェリア空爆、クリスマスの実行指示とトランプ氏

ビジネス

中国工業部門利益、1年ぶり大幅減 11月13.1%
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それでも株価が下がらない理由と、1月に強い秘密
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 7
    「アニメである必要があった...」映画『この世界の片…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    2026年、トランプは最大の政治的試練に直面する
  • 10
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中