最新記事

TPP

ワインブーム続く日本でシェア拡大するニュージーランド産ワイン CPTPP発効が追い風に

2019年1月7日(月)12時33分

のどかなニュージーランド(NZ)の丘陵地域から、こじゃれた東京の食卓へ──。ホークスベイ産ワインがたどる長い旅路は、自由貿易協定に支えられた大いなる成功への道だと、NZのワイン輸出業者は希望を膨らませている。提供写真。2015年撮影(2018年 ロイター Sileni Wines Limited Partnership/Handout via REUTERS)

のどかなニュージーランド(NZ)の丘陵地域から、こじゃれた東京の食卓へ──。ホークスベイ産ワインがたどる長い旅路は、自由貿易協定に支えられた大いなる成功への道だと、ナイジェル・エイブリー氏らNZのワイン輸出業者は希望を膨らませている。

同氏が経営する「シレーニ・エステート」は、日本とNZなど11カ国が参加する自由貿易協定が、事業の追い風になると期待している。米国と中国がいまだ貿易戦争の泥沼から抜け出せず、欧州事業も英国の欧州連合(EU)離脱騒ぎで混乱しているだけに、なおさらだ。

トランプ大統領の決断によって米国が抜けたとはいえ、この「包括的及び先進的な環太平洋パートナーシップ協定」(CPTPP)がカバーする地域は世界経済の10分の1以上を占めている。

これにより、マレーシア産ゴムやオーストラリア産牛肉などのニッチな業界では、将来に向けた期待が高まっている。裕福な日本の愛飲家の心をつかみたいと切望するNZのワイン業者も同様だ。

30日のCPTPP発効を受けて、日本政府はNZ産ワインに課している現在15%の輸入関税の引き下げに着手する。2025年までに完全撤廃を目指す。

米農務省が総額16億ドル(約180億円)と試算する輸入取引に対して、ワインの売上げはわずかであり、その成長を加速するには、NZのワイン生産者は販促投資を充実させて、欧州産ワインの優位に挑まなければならないだろう、と日本の輸入業者は指摘する。

ワイン生産量において、NZのトップ10ブランドに入るシレーニ・エステートには、売上げを拡大するポテンシャルがあると、エイブリー氏は確信している。

「いわゆる『旧世界』産ワインの消費が多い(日本)市場が成熟するにつれて、もう少し視野を広げようという動きが始まっている。確実にNZワインにも出会うだろうし、われわれのワインを飲んだ人は本当に気に入ってくれる」と、16年からCEOを務めるエイブリー氏は語る。

とはいえ、欧州のワイン生産者もこれを座視するつもりはなく、近々新たな自由貿易協定を締結する予定だ。日本と欧州連合(EU)間の関税削減に向けた包括的協定は、早ければ19年2月に発効する見込みだ。

「この貿易協定により、われわれの対日輸出は拡大し、輸出リーダーとしての立場は強まるだろう」。EUのワイン産業ロビー団体CEEVのジャンマリー・バリエール会長は12日、日本とEUの経済連携協定(EPA)が欧州議会で承認されたことを受けた声明でそう述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:カジノ産業に賭けるスリランカ、統合型リゾ

ワールド

米、パレスチナ指導者アッバス議長にビザ発給せず 国

ワールド

トランプ関税の大半違法、米控訴裁が判断 「完全な災

ビジネス

アングル:中国、高齢者市場に活路 「シルバー経済」
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界がうらやむ国」ノルウェーがハマった落とし穴
  • 4
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 5
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 6
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 7
    「人類初のパンデミック」の謎がついに解明...1500年…
  • 8
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 9
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 10
    「体を動かすと頭が冴える」は気のせいじゃなかった⋯…
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 3
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 4
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
  • 5
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 6
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 7
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 8
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 9
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 10
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中