最新記事

海外ドラマ

女性たちをとりこにする波瀾万丈の歴史ファンタジー

The Moor the Merrier

2018年12月19日(水)18時00分
アンナ・メンタ

新大陸に渡ったジェイミーとクレアに次々と試練が襲い掛かる STARZ

<スコットランドの荒涼とした風景を舞台に、20世紀の人妻と18世紀の戦士の熱愛を描く『アウトランダー』>

カリフォルニア州に住むアン・エプスタイン(75)は2015年以降、夫と共に3回もスコットランドに旅した。ちなみに夫妻はいずれもスコットランド人の血を一滴も引いていない。

この夫婦だけではない。スー・ネステイシア(58)は2回、アーリーン・ボーリー(67)は4回訪問。「スコットランド詣で」が突然ブームになったのは、テレビドラマ『アウトランダー』の影響だ。

アメリカの衛星・ケーブルテレビ局スターズ制作のこのドラマは、2014年にシーズン1の放映が始まり、今年11月にシーズン4がスタートした。原作はダイアナ・ガバルドンのベストラセラー小説『アウトランダー』シリーズだ。

10月初めに開催されたニューヨーク・コミック・コンベンション(通称NYコミコン)でシーズン4の予告編が上映された際には、大勢のファンが詰め掛けた。彼女たちのお目当てはキャストの舞台挨拶。エプスタインもそのためにニューヨークに飛んだ。「私が『アウトランダー』にはまったのは92年。友達が小説を貸してくれた。夢中で読み終えて、友達に言った。『悪いけど、すぐには返せない。もう一度読みたいから』って」

ストーリーを手短に紹介しよう。第二次大戦直後のロンドンに住む元従軍看護師のクレア(カトリーナ・バルフ)は、夫と共にスコットランドのハイランド地方に滞在中、18世紀半ばのスコットランドにタイムスリップする。そこで彼女はスコットランドの独立のために戦うハイランドの戦士ジェイミー(サム・ヒューアン)と恋に落ちる。

セックスシーンが魅力

シーズン1~3では、クレアは20世紀の知識を生かし、キルトを着用したむさくるしいジェイミーの仲間たちを助けた。彼らの敵はイングランド軍の陰険な将校。この男はクレアの夫の先祖で、夫とうり二つだ。

18世紀と20世紀を行き来しつつ、クレアの心は夫とジェイミーの間で揺れ動くが、ジェイミーと再会するたびにめくるめく情熱に身を任せる。「テレビ史上最高にホットなセックスよ」と、85歳のファンの女性はうっとり顔。彼女はこれまでの放送分を何度も見返したそうだ。「見ているときはとっても幸せ」

ヒューアン演じるジェイミーはロマンチックで誠実。しかも18世紀の男にしては意外に進歩的で、クレアの考えを尊重する。「ジェイミーは女性が望む理想の男」と、ネステイシアは言う。

原作が女性読者の絶大な支持を得ているから、ドラマのヒットも確実だった。それでも製作総指揮のマシュー・ロバーツはシリーズ1の反響に驚いたと言う。放送開始前にロサンゼルスで開催した最初のイベントでは、2500席の会場にファンがあふれた。「まだ1回も放送していないのに、ロックコンサート並みに盛り上がった」

『アウトランダー』はスターズ最大のヒット作の1つで、既にシーズン5、6の放送も決まっている。原作が歴史ファンタジーとあって、HBOの人気ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』に例える向きもあるが、違いはドラマが原作に先行する心配がないこと。「4部も先に行っているから、追い越されっこない」と、原作者のガバルドンは言う。原作は第8部まで刊行されており、第10部で完結する予定だ(邦訳は第7部まで刊行されている)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国BYD、1月販売台数は30%減 5カ月連続で減

ワールド

中国、応急管理相を調査 規律・法律違反の疑い

ワールド

25年ノーベル平和賞の情報漏れ、デジタルスパイの可

ワールド

中国、EU産乳製品調査巡り関税率引き下げ=欧州業界
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 2
    関節が弱ると人生も鈍る...健康長寿は「自重筋トレ」から生まれる
  • 3
    世界初、太陽光だけで走る完全自己充電バイク...イタリア建築家が生んだ次世代モビリティ「ソラリス」
  • 4
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 5
    中国がちらつかせる「琉球カード」の真意
  • 6
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 7
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    【銘柄】「大戸屋」「木曽路」も株価が上がる...外食…
  • 10
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 5
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 6
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 7
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 8
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 9
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 10
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中