最新記事

音楽

インドネシア当局、K-POPアイドルBLACKPINKのCM放映中止を要請 イスラム的道徳観では「淫らで下品」

2018年12月13日(木)15時46分
大塚智彦(PanAsiaNews)

世界展開するK-POPゆえに多様な価値観との軋轢も。BLACKPINK出演のCMより SHOPEE Indonesia / YouTube

<アジアはもとより、欧米でも人気を集めるK-POP。その先頭を走る人気女性グループが出演したCMが宗教的な理由から問題になっている>

インドネシアの国家放送委員会は11日、民放で放映されている韓国の女性アイドルグループBLACKPINKによる大手オンライン通販サイトのテレビコマーシャルを放映中止とすると発表した。その理由は彼女たちの服装や踊りが「過度に肌を露出しており、極めて下品で淫ら」であるからと指摘。インドネシアでは日本や韓国の歌手や映画俳優の人気が根強く、若者を中心にファンも多いため、今回の決定にファンの一部からは反発が起きている。

しかし、一方で世界最大のイスラム教徒人口を擁し、イスラム教徒が圧倒的多数であることから国民生活の隅々までイスラム教の規範、モラルがスタンダートとなっているという現実がある。

国家放送委が放映中止を求めたのは、インドネシアの大手オンライン通販サイト「ショッピー」のCMで、K-POP女性アイドルグループBLACKPINKメンバー4人が出演したもの。

BLACKPINKは韓国出身のジス、ジェニー、タイ出身のリサ、オーストラリア出身のロゼの4人からなるK-POPグループで、2016年8月にデビュー。2017年に8月には日本デビューも果たしている。韓国をはじめ日本や米国でも人気があり、また東南アジア、特にインドネシアでは熱烈な若い男女のファンが多いことでも知られている。

放映されていた「ショッピー」のCMは、4人がそれぞれ超ミニスカートやホットパンツにノースリーブや肩を出した服装で登場して、ブランド大使になった「ショッピー」の宣伝をするという内容だ。30秒のCMでは「ショッピー」がオンラインサイトでモバイルからアクセスすることが多いため、スマホを手にした4人のメンバーがそれぞれスーパーカーやブランコ、ド派手な椅子、クモの巣のようなオブジェの前でポーズを決めて宣伝するという構成で、彼女たちのヒット曲「DDU-DU DDU-DU」の「ショッピー」版になっている。

また2018年11月19日には「ショッピー」の宣伝を兼ねたイベントにBLACKPINKが登場。CMでも使われた曲「DDU-DU DDU-DU」などを披露すると満員の会場からは大歓声と歌に合わせて振るペンライトにあふれた。この様子はファンたちが撮影したものも含めて多数の動画がネットにアップされている。


11月19日に行われた「ショッピー」のイベント SHOPEE Indonesia / YouTube

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日鉄が経営計画、30年度に実力利益1兆円以上 海外

ワールド

タイ首相、トランプ氏と12日夜協議 カンボジアとの

ビジネス

EXCLUSIVE-日銀、次回会合で中立金利の推計

ビジネス

英GDP、8─10月は0.1%減 予想外のマイナス
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 2
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれなかった「ビートルズ」のメンバーは?
  • 3
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキャリアアップの道
  • 4
    【揺らぐ中国、攻めの高市】柯隆氏「台湾騒動は高市…
  • 5
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 6
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 7
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 8
    受け入れ難い和平案、迫られる軍備拡張──ウクライナ…
  • 9
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 10
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 10
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中