最新記事

アメリカ社会

アメリカどこが自由?「イスラエルをボイコットするとクビ」という州法が26州に

Teacher Fired For Refusing to Sign Pro-Israel Document

2018年12月18日(火)17時30分
ダニエル・モーリッツラブソン

旗を掲げてガザ封鎖に抗議するパレスチナ人(2018年10月19日) Mohammed Salem-REUTERS

<イスラエルに抗議のボイコットを「しない」と署名しないと、辞めさせられたり雇ってもらえなかったりする例が増えている>

テキサス州の学校区が、イスラエルに対するボイコットを行わないと誓う署名を拒んだだめに、言語聴覚士を解雇していたことが分かった。

9年前からこの学校区で働いてきた言語聴覚士のバヒア・アマウィは、9月に学校区から新規契約を提示された。契約は、アマウィに対して「イスラエルに対するボイコットを行わない」旨を確認するよう求めており、彼女は署名を拒否。そのために辞めさせられたとして、12月16日にテキサス州と問題の学校区を訴えた。

パレスチナの領土でイスラエル企業が生産した製品をボイコットしようという運動は、グローバルに広がっている。

「良心から署名できなかった」と、アマウィは言う。占領下で不当に苦しんでいるパレスチナの人々を裏切り、イスラエルの抑圧に加担することになる。合衆国憲法で認められた言論の自由の侵害を許すことで、アメリカをも裏切ることにもなる」

パレスチナ支持が増えるほど......

訴えられたフラッガービル学校区の広報担当者タムラ・スペンスは本誌に対して次のように語った。「係争中の訴訟についてはコメントできない。だが当学校区は、イスラエルに対して現在および契約期間中にボイコットを行わないという書面による確認なしに請負業者を雇うことを禁じた州法に従っただけだ。原告はその契約に同意しなかった」

テキサス州は2017年5月、州との契約で仕事を請け負う者がイスラエルをボイコットすることを禁止。現在26の州に同様の法律がある。カンザス州では2017年、イスラエルに対するボイコットを行わないと宣言することを拒んだ請負業者が、そのために契約を得られなかったとして州を訴えた。州は法律を修正し、訴えは取り下げられた。

イスラエルに対するボイコットへの反対運動は、連邦レベルでも、メリーランド州選出のベン・カーディン上院議員が率いる形で展開されている。

人権擁護団体の米自由人権協会ACLUの顧問マナー・ワヒードは、このところイスラエルに対する抗議活動を抑えるための法案が増えていると指摘する。「とくにこの2年で増えている」と彼女は言う。「パレスチナを支持する声が大きくなるほど、それに反対する声が大きくなっているようだ」

(翻訳:森美歩)

ニューズウィーク日本版 トランプの大誤算
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年4月14号(4月7日発売)は「トランプの大誤算」特集。国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル、イラン最大の石油化学施設を攻撃 国防相

ワールド

茂木氏がイラン外相と電話会談、停戦提案や首脳会談な

ビジネス

イラン戦争、インフレと金利上昇招く可能性 JPモル

ワールド

イラン外務省報道官、停戦案への回答を仲介国に伝達
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐせ・ワースト1
  • 3
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙の2大テーマでAI懸念を払拭できるか
  • 4
    「高市しぐさ」の問題は「媚び」だけか?...異形の「…
  • 5
    地面にくねくねと伸びる「奇妙な筋」の正体は? 飛行…
  • 6
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 7
    トランプ、イランに合意期限「米東部時間6日午前10時…
  • 8
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 9
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 10
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始めた限界
  • 4
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 5
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 6
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 7
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 8
    中国がイラン戦争最大の被害者? 習近平の誤った経…
  • 9
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受…
  • 10
    「高市しぐさ」の問題は「媚び」だけか?...異形の「…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中