最新記事

災害

カリフォルニア史上最悪の山火事にトランプがまた失言、消防士が猛反発

Firefighter Association Blasts Trump For Wildfire Tweet

2018年11月12日(月)17時00分
ドニカ・ファイファー

火が通った後に車の残骸。こんな時まで敵意丸出しのツイートを放つトランプに皆うんざり(11月11日) Mario Anzuoni- REUTERS

<筋違いで冷淡なトランプの発言に、命懸けで山火事と戦う消防士はがっかり>

カリフォルニア州で11月8日に発生した大規模な山火事は11日までに死者が29人に達し、1933年のグリフィスパーク火災を超えて同州では史上最悪の山火事となった。当局によれば捜索はまだ初期段階にあり、犠牲者がさらに増える可能性もあるという。

山火事はこれまでに約450平方キロメートルと6713軒の建物を焼いてまだ延焼している。25万人が避難し、キム・カーダシアンやマーク・ハミル、レディ・ガガといった有名人も避難したことをツイートで伝えている。

そんな中、トランプ大統領のコメントが消防士の激しい反発を招いている。

トランプは10日、カリフォルニア州の山火事の原因は森林管理の失敗にあるとツイートした。

「カリフォルニアでこのように大規模で死者が出て金のかかる森林火災が起きる理由は、森林管理が悪い以外にありえない。毎年、多額の金と多くの命が無駄になるのは、森林管理がまずいからだ。改善しないなら連邦政府から(州への)支払いを止める!」。

ちなみに6日の中間選挙でトランプ率いる共和党はカリフォルニア州で大敗を喫しているので、この冷淡な発言はその意趣返しかもしれない。

現場に来て事実を学べ! と怒りの声

これを受けて地元のパサデナ消防士組合のスコット・オースティン委員長はトランプに対し、カリフォルニアの山火事について「事実を学ぶ」よう呼びかけるとともに、火事の原因がずさんな森林管理にあるとするトランプの見方を一蹴した。

「大統領、恐れながらあなたは間違っている。南カリフォルニアの山火事は都市との境界で起きた火災であり、森林管理とは関係がない」と、オースティンは消防士組合のアカウントからツイートした。「南カリフォルニアに来て事実を学び、被害者に手を差し伸べよ」

他にも少なくとも2つの消防士団体が批判の声を上げている。カリフォルニア・プロフェッショナル消防士組合(CPF)と国際消防士組合(IAFF)のトップはそれぞれ11日に声明を出し、トランプの発言を非難した。

「危機の時に資金カットで脅すような愚かな思いつきは、目の前の災害と命懸けの消防士の仕事に対するおそろしい無理解を示している」と、IAFFのハロルド・シェイトバーガー委員長は述べた。IAFFはアメリカとカナダでフルタイムで勤務する消防士や救急医療サービス要員の組合だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国万科の社債37億元、返済猶予期間を30日に延長

ワールド

中国軍、台湾周辺で「正義の使命」演習開始 30日に

ビジネス

先行きの利上げペース、「数カ月に一回」の声も=日銀

ビジネス

スポット銀が最高値更新、初めて80ドル突破
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それでも株価が下がらない理由と、1月に強い秘密
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 7
    「アニメである必要があった...」映画『この世界の片…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    2026年、トランプは最大の政治的試練に直面する
  • 10
    アメリカで肥満は減ったのに、なぜ糖尿病は増えてい…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中