最新記事

中間選挙

政治的影響力を発揮したテイラー・スウィフトに保守派が反撃

Taylor Swift's Post Spurs 65,000 Voter Registrations

2018年10月10日(水)18時30分
ダニエル・モリッツラブソン

これまで政治には口を出さなかったテイラー・スウィフトだが、その影響力はすさまじい Simon Dawson-REUTERS

<中間選挙で民主党候補への支持を表明した人気歌手テイラー・スウィフトの投稿以来、有権者登録は急増。トランプをはじめ共和党陣営は、ポップスターの突然の政治参入に困惑している>

11月6日の中間選挙で投票してほしい――シンガー・ソングライターのテイラー・スウィフト(28)が熱を込めて訴えて以来、有権者登録が急増している。

スウィフトは10月7日、インスタグラムに長いメッセージを投稿。テネシー州の民主党候補2名を支持する理由を説明し、人々に投票に行くよう呼びかけた。彼女の投稿はたちまち大きなうねりを引き起こした。

View this post on Instagram

I'm writing this post about the upcoming midterm elections on November 6th, in which I'll be voting in the state of Tennessee. In the past I've been reluctant to publicly voice my political opinions, but due to several events in my life and in the world in the past two years, I feel very differently about that now. I always have and always will cast my vote based on which candidate will protect and fight for the human rights I believe we all deserve in this country. I believe in the fight for LGBTQ rights, and that any form of discrimination based on sexual orientation or gender is WRONG. I believe that the systemic racism we still see in this country towards people of color is terrifying, sickening and prevalent. I cannot vote for someone who will not be willing to fight for dignity for ALL Americans, no matter their skin color, gender or who they love. Running for Senate in the state of Tennessee is a woman named Marsha Blackburn. As much as I have in the past and would like to continue voting for women in office, I cannot support Marsha Blackburn. Her voting record in Congress appalls and terrifies me. She voted against equal pay for women. She voted against the Reauthorization of the Violence Against Women Act, which attempts to protect women from domestic violence, stalking, and date rape. She believes businesses have a right to refuse service to gay couples. She also believes they should not have the right to marry. These are not MY Tennessee values. I will be voting for Phil Bredesen for Senate and Jim Cooper for House of Representatives. Please, please educate yourself on the candidates running in your state and vote based on who most closely represents your values. For a lot of us, we may never find a candidate or party with whom we agree 100% on every issue, but we have to vote anyway. So many intelligent, thoughtful, self-possessed people have turned 18 in the past two years and now have the right and privilege to make their vote count. But first you need to register, which is quick and easy to do. October 9th is the LAST DAY to register to vote in the state of TN. Go to vote.org and you can find all the info. Happy Voting!

Taylor Swiftさん(@taylorswift)がシェアした投稿 -

民主党への投票を呼び掛けたスウィフトの投稿。これまでは政治的な発言はしないようにしていたが、人生に起こったいくつかの出来事と、過去2年の世界のありように、今は正反対に感じるようになった、と書いている


「スウィフトの投稿以来、24時間で約6万5000人が新たに有権者登録を行った」と、選挙啓発に携わる非営利団体「ボート・オルグ」で広報を担当するカマリ・ガスリーは、ニュースサイト「バズフィード」に語った。

全国的な有権者登録の増加はもちろんだが、「特にテネシー州の登録件数が急増している」という。10月に入ってから州内で登録した有権者は5183人だが、そのうち2144人がここ2日間に登録している。

ボート・オルグのサイト閲覧数も急増し、スウィフトの投稿以来の訪問者数は約15万6000人に上った。

「テイラー・スウィフトのおかげだ」と、ガスリーは言う。

これまで政治的意見を表明しなかったスウィフトが国民的議論を引き起こしたことを、ドナルド・トランプ大統領はあまり歓迎していない。スウィフトの音楽を「前より25%好きじゃなくなった」と、彼は語った。

共和党候補者の姿勢を批判

スウィフトは今回の投稿のなかで、共和党現職のマーシャ・ブラックバーン下院議員を厳しく批判し、二人の民主党候補(上院ではフィル・ブレデセン、下院ではジム・クーパー)に投票することを明らかにしている。

トランプは、ブラックバーンは「すばらしい女性」であり、「スウィフトは彼女について何も知らないに違いない」と、反論した。

保守派の評論家アン・コールターは、スウィフトが自分の意志で支持を表明したわけではないと主張。「スウィフトは『かわいいだけの白人娘』と悪質な攻撃を受けていた。だからエージェントに、民主党支持を表明するよう言われたのだ」と、ツィッターに投稿した。

保守派団体ターニング・ポイントUSAの創始者で活動家のチャーリー・カークは、政治的発言をしないことで知られていたスウィフトが政治に参入したことを嘆いた。「彼女は政治から距離を置いていて、そこが好きだった」と、フォックステレビの朝のニュース番組で、カークは語った。

スウィフトは投稿で、自分が政治に関する沈黙を破った理由として、ブラックバーンの女性問題に関するこれまでの姿勢を挙げた。

「テネシー州の上院議員候補は、マーシャ・ブラックバーンという女性だ。これまでと同様、できれば女性を当選させたいけれど無理。彼女の投票記録は実に恐ろしいから。彼女は男女平等賃金に反対し、家庭内暴力やストーカーから女性を保護する『女性に対する暴力防止法』の再認可にも反対した」と、スウィフトは書いている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米肥満薬開発メッツェラ、ファイザーの100億ドル買

ワールド

米最高裁、「フードスタンプ」全額支給命令を一時差し

ワールド

アングル:国連気候会議30年、地球温暖化対策は道半

ワールド

ポートランド州兵派遣は違法、米連邦地裁が判断 政権
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 3
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統領にキスを迫る男性を捉えた「衝撃映像」に広がる波紋
  • 4
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 7
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 8
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 9
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 10
    長時間フライトでこれは地獄...前に座る女性の「あり…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 10
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中