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欧州伊ポピュリスト政権、減税など公約実現に債務拡大へ EU高官「完全に異常」と批判
10月4日、欧州連合(EU)高官らは、イタリアがEUの財政規律に反する姿勢を示していることについて、こうした予算案を改定しない限り大規模な債務再編をせざるを得なくなるとみている。ローマで2018年5月撮影(2018年 ロイター/Tony Gentile)
欧州連合(EU)高官らは、イタリアがEUの財政規律に反する姿勢を示していることについて、こうした予算案を改定しない限り大規模な債務再編をせざるを得なくなるとみている。国民が最大の打撃を受けることになると警告した。
イタリアの債務残高は2兆3000億ユーロと、ギリシャの債務を大幅に超える。危機時に加盟国を支援する常設基金「欧州安定メカニズム(ESM)」が対応しきれない規模だ。
イタリアのポピュリスト連立政権を構成する反エスタブリッシュメント(既存勢力)政党「五つ星運動」と右派政党「同盟」の連立政権は先週、2019年の予算案で財政赤字目標を前政権の案の3倍に拡大し、対国内総生産(GDP)比2.4%にする方針を表明。20年、21年もその水準を維持する意向を示した。その後、イタリアのトリア経済・財務相が1日に、同案をユーロ圏財務相会合(ユーログループ)に発表した。
新政権は、債務拡大により定年退職年齢の引き下げや減税、インフラ投資、社会福祉の拡充とする公約を遂行する意向。
EU予算規制の下で、イタリアは債務を毎年減らすことや、財政の黒字化が義務付けられている。今回の予算案では露骨に違反した格好だ。イタリアの債務残高の対GDP比率は133%と、ギリシャに続き欧州で2番目に高い。
投資家らはまた、イタリア経済がほぼ停滞していることから、債務返済できるかどうかを懸念した。予算案公表後、投資家がイタリア国債を売り込む中で国債利回りは4年半ぶりの高水準を付けた。
国債利回りの上昇とEUからの批判を受けイタリア政府は、20年の財政赤字目標を対GDP比2.2%に、21年に2.0%にするかもしれないと述べた。国債利回りは低下したものの、EU高官らは決して十分と言えるものではないと主張した。
ある高官は「20年と21年に関するイタリアの提案に市場は前向きに反応したが、非常に馬鹿げている。市場は良いニュースを見つけようと必死なようだが、これを買い材料とするのは思い違いだ」と指摘した。「市場は、イタリアの逸脱ぶりがどれほどの規模でどれほど異常かを過小評価している。そしてイタリアの成長見通しは滑稽だ。特にこの政権では、成長は加速しない。減速するだろう」と付け加えた。
別の高官は「イタリア経済は大き過ぎてESMでは救済できないとの見方で大方合意している。ESMの資金の量というテクニカルな問題だけではなく、政治的な問題が最大の難点だ。北欧の国を中心に多くの国は、イタリアのためにESMを使いたくないと感じている」とした。「よって大規模な債務再編しか道はない」との見方を示し、複数の高官が同調した。
イタリア債券の3分の2は国内の機関や個人が保有しているため、イタリアが債務危機に陥った場合、国民が最大の被害を被る可能性がある。
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