最新記事

NAFTA

NAFTA再交渉「カナダ抜き」の屈辱 ナイーブ過ぎたトルドー首相

Justin Trudeau Can’t Take Any More Humiliation

2018年9月4日(火)19時30分
ジョナサン・ケイ

一連のプロセスに連邦議会が携わるという事実は、トルドーにとってかなり有利だ。トランプが大統領に選出された瞬間から、トルドーのチームはワシントンでさまざまな工作をし、アメリカの議員や企業のロビイスト、州知事の間に貿易促進派の強力なネットワークを築いてきたからだ。既に彼らの一部が、米メキシコ貿易協定やカナダに対する最後通牒に抗議し始めている。共和党のパトリック・トゥーミー上院議員はトランプに対して「トランプ政権はカナダと合意に達するべきだ」と主張、「NAFTAはそもそも3カ国の合意に基づく協定だ」と警告した。

第二に、アメリカとメキシコの合意のなかで金額的に最も大きい条項の1つは、自動車の40~45%は時給16ドル以上を稼ぐ労働者によって作られなければならない、というもの。これは低賃金のメキシコから高賃金のカナダに生産をシフトさせるもので、カナダに有利だ。

乳製品開放はカナダのためでもある

第三に、トルドーはトランプが欲しがるカードを持っている。しかもそれは、カナダ経済にとってもよい効果があるものだ。トランプの瀬戸際外交を言い訳にトルドーは、時代遅れで非効率でカナダの消費者から金を巻き上げる慣行を止めてしまえばいいのだ。

その慣行とはもちろん、カナダの乳製品カルテルだ。卵や乳製品の生産企業は、価格維持、生産割当、関税などあらゆる手段を使って消費者からお金をだまし取っている。ある研究によると、カルテルのおかげで平均的なカナダ人世帯は年間150米ドル以上を余分に乳製品に支払っている。ここ数十年、この慣行をつぶすのはどんな政権にとっても自殺行為だと言われてきた。だが今、NAFTAの存続のために支払わなければならない代償が、国産乳製品のカルテルを解体しアメリカの乳製品を買うことだと言ったら、それに反対するカナダ人はほとんどいないだろう。

From Foreign Policy Magazine

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ECB、2月理事会でインフレ下振れ予想 金融政策は

ビジネス

ECB、政策「会合ごとに判断」 中東緊迫化でも既定

ワールド

欧州各国、安全確保やキプロス保護へ海軍派遣 イラン

ビジネス

米1月輸入物価、0.2%上昇 エネルギー安を資本財
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで続くのか
  • 2
    「え、履いてない?」モルディブ行きの飛行機で撮影された、パイロットの「まさかの姿」にSNS爆笑
  • 3
    「ハリポタ俳優で終わりたくない」...ハリー・メリングが新作『ピリオン』で見せた「別人級」の変身
  • 4
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 5
    「イランはどこ?」2000人のアメリカ人が指差した場…
  • 6
    対イラン攻撃に巻き込まれ、湾岸諸国が存立危機
  • 7
    「巨大な水柱に飲み込まれる...」米海軍がインド洋で…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「旅客数が多い空港」ランキン…
  • 9
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 10
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だっ…
  • 1
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 2
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズった理由
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 7
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 8
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 9
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 10
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中