最新記事

メディア

NYTなど米350紙、報道の自由訴える論説を一斉掲載 トランプ攻撃に対抗

2018年8月17日(金)09時02分

 8月15日、300紙以上の米新聞が16日付の紙面に、報道の自由を擁護する論説を一斉に掲載する。トランプ米大統領が一部の報道機関について「米国民の敵」と呼んだことを受けた動き。写真は主導するボストングローブの社屋とロゴ。ボストンで2009年6月に撮影(2018年 ロイター/Brian Snyder)

米国の350紙を超える新聞が16日、報道の自由を擁護する論説を一斉に掲載した。トランプ米大統領が一部報道機関を「米国民の敵」と呼び、攻撃していることに対抗する。

論説掲載はボストン・グローブ紙が主導し、有力紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)のほか、トランプ氏が2016年の大統領選で勝利した州の一部メディアが参加した。

ボストン・グローブの論説はトランプ大統領が「報道の自由への攻撃を続けている」と批判。「米国の偉大さは、権力者に対して真実を語る自由な報道の役割によっている」とした上で「メディアを『人々の敵』と決め付けることは危険なことであり、アメリカ的ではない」などと主張した。

トランプ大統領は自身に批判的な報道を「フェイク(偽)ニュース」と呼び、一部メディアへの対決姿勢を強めている。2017年2月にはツイッターで、ニューヨーク・タイムズ紙などを名指しし「フェイクニュースメディアは私の敵ではなく米国民の敵だ!」とコメントしている。

NYTの論説は「記者や編集者は人間で、間違いもする。そのため誤報を訂正することがわれわれの責務の根幹を成す」とし、「しかし、自分の好まない真実を『フェイクニュース』と主張することは民主主義の源を脅かす」と強調した。

トランプ大統領はこの日もツイッターへの投稿で「フェイクニュースメディアは野党だ。偉大な国である米国に有害だが、われわれは勝利する!」と述べた。

一方、トランプ大統領に対抗する論説の一斉掲載に批判的な見方を示すメディアもある。

CBSニュースの論説は「ジャーナリストの集団思考による自滅的な行動」と批判。「誰がこの種のキャンペーンに説得されるのか。数百の新聞が同様の旋律を奏でることが心を動かすのか。実際に気に留めている人がいるのか」と疑問を呈した。

*内容を追加して再送します。



[ロサンゼルス 16日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

焦点:闇に隠れるパイロットの精神疾患、操縦免許剥奪

ビジネス

ソフトバンクG、米デジタルインフラ投資企業「デジタ

ビジネス

ネットフリックスのワーナー買収、ハリウッドの労組が

ワールド

米、B型肝炎ワクチンの出生時接種推奨を撤回 ケネデ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 6
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 9
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 10
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中