最新記事

中国

「BRICS+」でトランプに対抗する習近平──中国製造2025と米中貿易戦争

2018年8月10日(金)16時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

BRICS首脳会議 南ア(ヨハネスブルグ)で開催(7月26日) Mike Hutchings-REUTERS

トランプが中国に貿易戦争を仕掛けているのは、中国に「中国製造2025」戦略があるからだ。習近平は「2025」戦略を死守し、31億人を擁するBRICSを周辺諸国に拡張して米国に対抗していこうとしている。

ヨハネスブルグ「BRICS+(プラス)」で見せた習近平の狙いと野望

7月19日から29日にかけて、習近平国家主席は二期目の国家主席になってから初めての外遊を行なった。アラブ首長国連邦、セネガル、ルワンダ、南アフリカを訪問し、南アフリカのヨハネスブルグでBRICS(ブリックス)首脳会議に参加したあと、モーリシャスを訪問して現地時間28日に発ち、29日に北京に戻った。

BRICS首脳会議はブラジル(B)、ロシア(R)、インド(I)、中国(C)および南アフリカ(S)の「新興5ヵ国」によって構成されているが、昨年の厦門(アモイ)会議から「BRICS+(プラス)」と称して非BRICS構成国を招聘している。昨年は5カ国を招聘したが、今年は22ヵ国を招聘して、より大きな共同体に持っていこうとしている。

22カ国にはアンゴラ、アルゼンチン、トルコ、ボツワナ、コンゴ、エジプト、ガボン、レソト、マダガスカル、マラウイ、モザンビーク、ナミビア、ルワンダ、セネガル、セーシェル、タンザニア、トーゴ、ウガンダ、ザンビア、ジンバブエ、ジャマイカ......などがある。

中国では「BRICS」を「金磚」と表現し、「BRICS+」を「金磚+」と表記する。「磚[zhuan]」(せん)は「灰色に焼いた中国式のレンガ(brick)」という意味であることから、この文字を当てはめた。

さて、この「BRICS+」=「金磚+」に関して、習近平はどのように位置づけたのか。

習近平がヨハネスブルグで行なったスピーチを中心として、中東・アフリカの旅に関して、7月29日の中国共産党機関紙「人民日報」が伝え、それを共青団の「中国青年網」など多くのウェブサイトが転載している。中央テレビ局CCTVも、連日連夜、世の中にはもうこの情報以上に重要なニュースはないと言わんばかりに、声を張り上げて放送しまくった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

25・26年度の成長率見通し下方修正、通商政策の不

ビジネス

午前のドルは143円半ばに上昇、日銀が金融政策の現

ワールド

米地裁、法廷侮辱罪でアップルの捜査要請 決済巡る命

ビジネス

三井物産、26年3月期は14%減益見込む 市場予想
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 2
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 3
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    中居正広事件は「ポジティブ」な空気が生んだ...誰も…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中