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絶滅危惧種

子供の亡骸を16日間も離さない母シャチの悲嘆「もう見ていられない」と研究者

THIS ORCA HAS BEEN CARRYING HER DEAD CALF FOR 16 DAYS—AND RESEARCHERS THINK SHE COULD BE IN DANGER

2018年8月10日(金)18時38分
キャサリン・ハイネット

このシャチの群れには、もう10年来、ほとんど子供が生まれなくなっている。タレクアの娘は、一度は生まれてきて母と並んで泳いだが、30分ほどで動かなくなった。30分しか生きられなかった。タレクアは天国から地獄に突き落とされたのだ。

(2週間近いが、子供は腐りもせずきれい。冷たい海水のせいだという)


タレクアの娘は、この群れで3年ぶりに生まれた子供だった。群れ全体で過去20年に生まれた子供は、75%の確率で死んでしまった。

なぜなのか? 親シャチの栄養不足だ。ここのシャチは年々やせ細っていく、と科学者たちは言う。彼らの主食はキングサーモンだが、あいにくキングサーモンも絶滅しかけているのだという。

環境破壊、気候変動、乱獲、上流で生まれたキングサーモンが海に出る道に立ちはだかるダム。そうした人間の行いが廻り廻って、タレクアのような母シャチと子供を破壊した。

死んだ子供からなかなか離れない哺乳類は少なくない。しかし2週間を超えるタレクアの悲嘆はけた違いだ。このままでは種が全滅するというのもわかっているかのようだ。

科学者や研究者は、シャチにビタミン剤を与えるなど、できることはやっている。キングサーモンの量を増やすために、ダムを通れるようにすることも。間に合って欲しい。

(タレクアと群れを助けようとする人々。10年前から、子供が死ぬのを何度も見てきたと言う。悲しい群れだ。世界中から、救うために何ができる?と質問が殺到しているという)

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