最新記事

人道問題

トランプ、トルコが米牧師釈放しなければ「大規模な制裁発動」

2018年7月27日(金)09時00分

 7月26日、トランプ米大統領(写真)は、トルコがテロリズムやスパイの罪に問われている米国人牧師を釈放しなければ同国に対し「大規模な制裁」措置を発動すると述べた。米アイオワ州ペオスタの集会で撮影(2018年 ロイター/Joshua Roberts)

トランプ米大統領は26日、トルコがテロリズムやスパイの罪に問われている米国人牧師を釈放しなければ同国に対し「大規模な制裁」措置を発動すると述べた。トルコ政府は反発しており、ともに北大西洋条約機構(NATO)に加盟する両国間の緊張が高まっている。

焦点となっているのはトルコに20年以上在住している米国人のアンドリュー・ブランソン牧師。2016年のクーデター未遂事件を起こしたグループや反政府武装組織のクルド労働者党(PKK)を支援したとして起訴され、今月18日にトルコの裁判所が同氏の収監継続を決定している。

トランプ大統領は「偉大なキリスト者で素晴らしい人物であるブランソン牧師を長期にわたり拘束しているため、米国はトルコに対し大規模な制裁措置を発動する」とツイッターに投稿。「ブランソン氏は大変苦しんでいる。信仰心が篤く無実のブランソン氏は直ちに釈放されなければならない!」とした。

これに先立ちペンス副大統領も同様の見解を表明。国務省が主催した宗教の自由に関するイベントで「(トルコの)エルドアン大統領、ならびにトルコ政府に対し、米大統領からのメッセージを伝えたい。ブランソン牧師を直ちに釈放しなければ、代償を払う用意を整える必要がある」と述べた。

ただ、トランプ大統領もペンス副大統領も米政府が具体的にどのような制裁措置を発動するかについては明らかにしていない。

こうした動きに対しトルコの大統領報道官は、米国のこうした姿勢は容認できず、両国間の関係を悪化させるものと批判。報道官は声明で「米国は自国の利益に加え、トルコとの同盟関係をさらに傷付ける前に方針を再考し、建設的になる必要がある」とした。

緊張が高まるなか、トルコ外務省によると、トルコのチャブシオール外相が米国のポンペオ国務長官と会談を行った。ただ会談の内容については現時点では明らかになっていない。

米政府が制裁措置導入の可能性を示したことを受け、外国為替市場ではトルコリラが一時1ドル=4.89リラに下落。ただその後は4.8420リラに回復した。トルコ株式市場のBIST100種指数<.XU100>も一時1.75%下落した。



[ワシントン/イスタンブール 26日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 トランプ関税15%の衝撃
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年8月5日号(7月29日発売)は「トランプ関税15%の衝撃」特集。例外的に低い税率は同盟国・日本への配慮か、ディールの罠

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

トランプ氏、雇用統計「不正操作」と主張 労働省統計

ビジネス

労働市場巡る懸念が利下げ支持の理由、FRB高官2人

ワールド

プーチン氏、対ウクライナ姿勢変えず 米制裁期限近づ

ワールド

トランプ氏、「適切な海域」に原潜2隻配備を命令 メ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 3
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿がSNSで話題に、母親は嫌がる娘を「無視」して強行
  • 4
    カムチャツカも東日本もスマトラ島沖も──史上最大級…
  • 5
    【クイズ】2010~20年にかけて、キリスト教徒が「多…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    これはセクハラか、メンタルヘルス問題か?...米ヒー…
  • 8
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 9
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 10
    ニューヨークで「レジオネラ症」の感染が拡大...症状…
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 8
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 9
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 10
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 7
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 10
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中