最新記事

北朝鮮

誰に見せるためか?――金正恩氏、経済視察で激怒

2018年7月26日(木)17時50分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

発電所は1981年に建国の父、金日成(キム・イルソン)が建設を指示しており、ダム建設に着工してから17年も経っているというのに、まだ完成していない。内閣の担当幹部はここ数年、一度も現場を視察せず怠慢をしている。そのことに金正恩は激怒し「言葉も出ない」「なぜ、こうなるまで!」と憤慨したとのこと。

清津(チョンジン)のカバン工場では「陳列棚がみすぼらしい」「カバンが改善されていない」と怒り、温泉休養所では浴槽が「魚の水槽にも劣る」と激怒。

いたるところで経済発展の遅れと怠慢を怒りまくった様子が報道された。

北朝鮮国内に対して経済開発の緊迫性を訴えるという目的は事実上あっただろうが、これらもやはり、習近平に見せるためであったことが明らかになっていく。

北朝鮮の国際部副部長が訪中――党と党の間の経済協力

7月23日、朝鮮労働党の柳明鮮(リュ・ミョンソン)国際部副部長が訪中した。金正恩が経済視察で激怒したことが報道されて、約一週間後のことだ。

中国共産党系のウェブサイト「参考消息網」は柳明鮮氏が高麗航空に乗って北京首都国際飛行場に着いたと報道した。柳明鮮氏は今年5月14日(~24日)に朝鮮労働党の朴泰成(パク・テソン)副委員長を代表とする朝鮮労働党(経済)視察団が訪中した時にも同行しており、また4月に中共中央対外聯絡部の宋濤部長が訪朝して金正恩に会った時にも同席していた。宋濤は4月13日に朝鮮労働党中央国際部の招聘を受けて、中国芸術団「四月の春」を引率して訪朝し、4月14日に金正恩と会談していた(新華社が伝えていた)。

中国は新義州と丹東市をつなぐ「新鴨緑江大橋」(高速道路橋)建設および中国対岸の北朝鮮側の道路修復のための話し合いを中心として大規模な中朝経済協力を討議するものとみなされている。これは中国共産党と朝鮮労働党という両党間の協力関係であると中国は位置付け、国連安保理制裁による「国と国の間の制約」を受けないとしている。

韓国はポンペオ発言に同調

韓国の文在寅大統領は、どの国よりも率先して南北融和を訴え、対北制裁を緩和したいと願っていることを隠しきれないでいた。しかし米韓軍事同盟があるので、アメリカの顔色を窺いながらでないと緩和はできない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ユニリーバとクラフト、食品事業統合で協議 その後打

ビジネス

FRBのバランスシート調整は順調、4月過ぎればTビ

ワールド

豪首相「国内の燃料供給は安定」、買いだめ自粛呼びか

ビジネス

パウエル氏、刑事捜査決着まで「FRB去らず」 任期
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 2
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 3
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 4
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 5
    モジタバの最高指導者就任は国民への「最大の侮辱」.…
  • 6
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 7
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 8
    ガソリン価格はどこまで上がるのか? 専門家が語る…
  • 9
    観客が撮影...ティモシー・シャラメが「アカデミー賞…
  • 10
    原油高騰よりも米国経済・米株市場の行方を左右する…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 6
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 7
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 10
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中