最新記事

ロシアW杯

「ビール抜きでW杯観戦しろって!?」 英国サポーター襲う炭酸ガス不足

2018年6月29日(金)16時27分

6月27日、英国では炭酸ガス(CO2)の不足がビール・清涼飲料水の大手生産会社を直撃している。写真はロンドンのパブ(2018年 ロイター/Peter Nicholls)

英国では炭酸ガス(CO2)の不足がビール・清涼飲料水の大手生産会社を直撃している。サッカーのワールドカップでイングランドが快進撃を続け、熱波による気温上昇で飲料需要がピークを迎える中、生産が支障を来しつつある。

気温上昇による飲料需要の高まりに加え、ワールドカップを控えたビールの在庫積み増しにより、ビールメーカーのCO2需要は増大。こうした状況下、CO2を副産物として排出する化学工場での生産停止により、CO2は供給不足となっている。

またCO2の不足は、食肉や冷凍食品の生産業者にも影響している。CO2は、ドライアイスの生産のほか、家畜を屠殺する前に気絶させる際にも使われている。

オランダのビール大手ハイネケンは先週、パブに対し、供給に問題が生じる可能性があると警告。27日には、できるだけ迅速にビールを顧客へ届けるため、24時間体制で生産していると説明した。

またコカ・コーラ・ヨーロピアン・パートナーズは清涼飲料水の一部で生産ペースを減速している。

両社とも、依然として顧客からの需要を満たすことはできるとしている。だが英スーパーマーケット最大手テスコ傘下の卸売会社ブッカーは、清涼飲料水とビールで「供給上の問題」に見舞われていると発表した。ただ、具体的にどのブランドが影響を受けているかは明らかにしなかった。

食肉会社チューリップは27日、スコットランドのブレチン工場でCO2を使い果たし、生産を停止したと発表した。

産業用ガス最大手である仏エア・リキードはCO2の不足について、複数の生産施設で異例にも生産が同時に停止した結果だと説明した。

同業の独リンデは、欧州の物流経路を変更することで顧客の需要への対応を図っているとした。

英国では4月下旬以降、季節外れの晴天と高温が続いた。英気象庁によると、5月の日中最高気温の平均は17度で、5月としては記録を開始した1910年以降で最高となり、晴天の日は1929年以降で最も多かった。

こうした高温が今後も続くと予想される中、サッカーのワールドカップではイングランドが28日に1次リーグ最終戦でベルギーと対戦、7月2日もしくは3日には決勝トーナメント1回戦を迎える。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

ECB、適時かつ小幅な利下げ必要=イタリア中銀総裁

ビジネス

トヨタ、米インディアナ工場に14億ドル投資 EV生

ビジネス

米GDP、第1四半期は+1.6%に鈍化 2年ぶり低

ビジネス

ロイターネクスト:米第1四半期GDPは上方修正の可
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP非アイドル系の来日公演

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 6

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 7

    やっと本気を出した米英から追加支援でウクライナに…

  • 8

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 9

    自民が下野する政権交代は再現されるか

  • 10

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中