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混迷するイタリア政治危機 再選挙後に想定されるシナリオとは

2018年5月31日(木)17時10分


民主党が五つ星運動またはフォルツァ・イタリアと連立

これは、現時点で最も可能性の低いシナリオである。

直近の各世論調査によると、中道左派の民主党(PD)の得票率は約20%で、3月の総選挙よりやや高い水準だ。五つ星運動と組めば、過半数を十分取れる可能性はある。

ただしPDは、3月の総選挙後に何度も連立の申し出を受けたが、それを拒否してきた。その立場に変化は今のところ見られない。

PDとフォルツァ・イタリアという右派と左派の連立は、過半数に遠く及ばないことを各世論調査は示している。PDは極右との連立を常に除外してきた。

変数は何か

暫定内閣が議会で過半数を得る可能性は低いことから、五つ星運動と同盟は協力して新たな選挙法を成立させる可能性がある。現行法では、ほぼ完全な比例代表制で選挙が実施され、連立には有利に働く。

同盟のサルビーニ党首は28日、五つ星運動と選挙法を改正することを検討していると述べたが、どのように変えるかについては明かさなかった。再選挙を控え、いかなる改正も政治的な計算に影響を及ぼすことは明らかだ。

現行法の下では、同盟が3月選挙のときのように、中道右派連合と共に戦い、選挙後に五つ星運動と組むという独自路線を歩むことを妨げるものは何もない。

(翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

[ローマ 29日 ロイター]


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