最新記事

移民

結婚はしたけど、メーガン・マークルのビザ取得にはいくつもハードルが

2018年5月21日(月)17時30分
バイシュナビ・バイダナサン

王子と結婚しても、ビザを申請するときは一外国人のマークル(5月18日 ロンドン郊外のウィンザー城で) Jonathan Brady/REUTERS

<英国は移民制度を厳格化し、イギリス人がEU以外の外国人と結婚するのを難しくしたばかり。マークルが永住権を得るには、イギリス生活テストやハリー王子の低所得が問題に>

米女優メーガン・マークルは5月19日、イギリスのハリー王子とめでたく結ばれたが、英王室のメンバーになったからといってイギリスの厳格なビザ審査は逃れられない。イギリスは近年、永住を希望する多くのカップルの申請を却下している。とくに永住ビザの取得は至難の業だ。

イギリスは2012年、テリーザ・メイ英首相の内相時代に移民制度を厳格化。イギリス人がEU出身者以外の市民と結婚するためのハードルを高くした。

英誌エコノミストによれば、たとえ結婚相手が英王子であろうと、マークルはロイヤルファミリーではなく一般市民とみなされるため、永住ビザ取得のためには数々の障害をクリアしなければならない。

マークルは挙式前、通称「婚約者ビザ」を取得している。ハリー王子とイギリスで新生活を始める許可で、申請者とその配偶者は申請前に同居していなくても構わない。

結婚後マークルに必要なのは「配偶者ビザ」だ。それがあれば、永住ビザを申請できるようになるまでの5年間はイギリスで暮らせる。

だが永住ビザを申請するには、内務省が課す「イギリス生活」に関する試験を突破しなくてはならない。出題範囲はイギリスの文化、地理、歴史から王室まで幅広く、不合格者が後を絶たない難関試験だ。それに合格し、いまや義理の祖母となったエリザベス女王への忠誠を誓って初めて、市民権取得の資格を与えられる。

敷居が上がったイギリス人との結婚

永住権を取得するには、マークルはハリー王子の配偶者として5年以上イギリスに住み続けなければならない。その間、90日以上国外に滞在すれば申請資格を失う。

イギリス人との結婚は、難しく金のかかるプロセスだ。現行の永住権の申請料は約9400ドル。2004年の約2倍になっている。

ハリー王子なら高額な申請料も余裕で払えるだろうが、「最低所得要件」に引っかかるかもしれない。新たな移民制度の下では、EU出身以外の配偶者をイギリスに住まわせるためには、彼自身に2万1000ドルの所得があると証明する必要がある。

ハリー王子は2015年に英軍での勤務をやめて以降慈善事業しかしてこなかったので大した所得はない、と英紙ガーディアンは報じている。最低所得に達しない場合、残る手段は、最低でも7万2000ドルの貯蓄がある、と証明することだ。

報道によれば、2010年にイギリスで永住権を認められたカップルは4万組だったが、新たな移民制度適用後の2016年は2万6090組まで減少。要件を満たさないのを理由に4分の1以上の申請が却下された。

(翻訳:河原里香)

(International Business Times)

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

焦点:闇に隠れるパイロットの精神疾患、操縦免許剥奪

ビジネス

ソフトバンクG、米デジタルインフラ投資企業「デジタ

ビジネス

ネットフリックスのワーナー買収、ハリウッドの労組が

ワールド

米、B型肝炎ワクチンの出生時接種推奨を撤回 ケネデ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 6
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 9
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 10
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中