最新記事

中東

米大使館エルサレム移転にパレスチナ人が決死の抗議、死者58人

2018年5月15日(火)13時45分
クリスティナ・マザ

エルサレムへの大使館移転を決定したことで、アメリカは人権侵害を煽っているとする、という批判もある。

「トランプ政権は今回の移転を、一つの建物から別の建物への引っ越しに過ぎないと思っているかもしれない。だが実際は、意図的にパレスチナ人の権利を損なうものであだ。イスラエルによる違法な入植を含め何十年にも及んだ権利侵害を容認するものだ」と、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルの中東・アフリカ問題担当ディレクター、ラーイド・ジャラールは声明で述べた。

トルコと南アフリカは14日、ガザ地区での暴力に抗議して、駐イスラエル大使を本国に召還すると発表した。

再び標的になる危険

ホワイトハウスは、新大使館の開館によって、アメリカがイスラエルとパレスチナの和平交渉を仲介する能力に影響が及ぶことはないと主張する。

「我々は引き続き、イスラエルとパレスチナの間で恒久的かつ包括的な和平を推し進めることに尽力する」と、マイク・ポンペオ新国務長官は語った。「国務長官として初の外遊でイスラエルを訪れることができたことを、嬉しく思う」

イスラエルとパレスチナの和平交渉は2014年のガザ侵攻以降、こう着状態にある。5月14日のデモとイスラエル軍の衝突は、それ以来で最悪の流血の惨事となった。

特定の国の外交政策に抗議する方法として、大使館が狙われて攻撃されることはよくある。アメリカの場合は過去10年で、アフガニスタン、トルコ、リビア、エジプト、イエメンとパキスタンの大使館が攻撃の標的となってきた。

(翻訳:森美歩)

20240423issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年4月23日号(4月16日発売)は「老人極貧社会 韓国」特集。老人貧困率は先進国最悪。過酷バイトに食料配給……繫栄から取り残され困窮する高齢者は日本の未来の姿

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

インフレに忍耐強く対応、年末まで利下げない可能性=

ワールド

NATO、ウクライナ防空強化に一段の取り組み=事務

ビジネス

米3月中古住宅販売、前月比4.3%減の419万戸 

ビジネス

米新規失業保険申請、21万2000件と横ばい 労働
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 3

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画って必要なの?

  • 4

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 5

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 6

    【画像】【動画】ヨルダン王室が人類を救う? 慈悲…

  • 7

    ヨルダン王女、イランの無人機5機を撃墜して人類への…

  • 8

    紅麴サプリ問題を「規制緩和」のせいにする大間違い.…

  • 9

    インド政府による超法規的な「テロリスト」殺害がパ…

  • 10

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中