最新記事

アメリカ政治

米CIA長官候補ハスペル氏、過酷な尋問への関与巡り指名辞退申し入れ

2018年5月7日(月)09時15分

 5月6日、トランプ米大統領が次期中央情報局(CIA)長官に指名したジーナ・ハスペルCIA副長官(中央)がホワイトハウスに対し、指名辞退を申し出ていたことが、事情に詳しい2人の関係筋の話で明らかになった。ワシントンで2日撮影(2018年 ロイター/Jonathan Ernst)

トランプ米大統領が次期中央情報局(CIA)長官に指名したジーナ・ハスペルCIA副長官がホワイトハウスに対し、指名辞退を申し出ていたことが、事情に詳しい2人の関係筋の話で6日、明らかになった。

ハスペル氏を巡っては、ブッシュ元政権下のCIAが2001年9月11日の米同時多発攻撃後に拘束された容疑者らに対して実施した「拷問」とされる水責めなど過酷な尋問に関わったとの指摘がある。ハスペル氏の支持者らは、ホワイトハウスのスタッフがCIA長官指名を巡り神経質になっていると懸念していたため、同氏は辞退を申し出たという。

同氏による指名辞退の申し入れについては、米紙ワシントン・ポストが最初に報じた。

同紙が4人の米高官の話として伝えたところによると、ハスペル氏は4日にホワイトハウスに呼び出され、過酷な尋問への関与について質問を受けた。同氏は9日に予定されている上院情報委員会での指名承認公聴会がCIAに悪影響を及ぼす事態を回避するため、辞退を申し出た後、バージニア州ラングレーのCIA本部に戻った。

ホワイトハウスのマーク・ショート議会担当補佐官などは同日中に急きょ、ラングレーの本部にハスペル氏を訪れ、数時間にわたり協議したが、指名辞退を撤回する確約は取り付けられなかったという。

ワシントン・ポストによると、ホワイトハウスは5日午後になってようやく、同氏が辞退することはないと確認した。

ホワイトハウスのシャー報道官は取材に対し、「ハスペル氏は30年以上も国に仕えてきた大変有能な候補だ」とコメント。「米国自由人権協会(ACLU)と見解を共にするような、CIAに対する党派的批判によって指名が阻止されることはない」とした。

ハスペル氏を巡っては、拷問を記録したビデオテープの破棄を命じた可能性についても指摘されている。



[ワシントン 6日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 岐路に立つアメリカ経済
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年6月3日号(5月27日発売)は「岐路に立つアメリカ経済」特集。関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、鉄鋼関税50%に引き上げ表明 6月4日

ビジネス

アングル:トランプ関税、世界主要企業の負担総額34

ワールド

トランプ米大統領、日鉄とUSスチールの「パートナー

ワールド

マスク氏、政府職を離れても「トランプ氏の側近」 退
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岐路に立つアメリカ経済
特集:岐路に立つアメリカ経済
2025年6月 3日号(5/27発売)

関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プーチンに、米共和党幹部やMAGA派にも対ロ強硬論が台頭
  • 3
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言ってがっかりした」
  • 4
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 5
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 6
    【クイズ】生活に欠かせない「アルミニウム」...世界…
  • 7
    「これは拷問」「クマ用の回転寿司」...ローラーコー…
  • 8
    ワニにかまれた直後、警官に射殺された男性...現場と…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」時代の厳しすぎる現実
  • 3
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多い国はどこ?
  • 4
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 5
    アメリカよりもヨーロッパ...「氷の島」グリーンラン…
  • 6
    デンゼル・ワシントンを激怒させたカメラマンの「非…
  • 7
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 8
    友達と疎遠になったあなたへ...見直したい「大人の友…
  • 9
    ヘビがネコに襲い掛かり「嚙みついた瞬間」を撮影...…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 6
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中