最新記事

医療

武田薬ウェバーCEO「シャイアー買収でR&D選別推進、スピンオフ新会社も」

2018年5月18日(金)12時34分

5月17日、欧州医薬品大手シャイアーの買収に合意した武田薬品工業のクリストフ・ウェバー最高経営責任者(CEO=写真)はロイターのインタビューに応じ、統合に向けて研究開発分野で大胆な事業選別を進めていく考えを明らかにした。東京で9日撮影(2018年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

欧州医薬品大手シャイアーの買収に合意した武田薬品工業<4502.T>のクリストフ・ウェバー最高経営責任者(CEO)はロイターのインタビューに応じ、統合に向けて研究開発分野で大胆な事業選別を進めていく考えを明らかにした。

また具体的には示さなかったものの、長期的な視点を持つ投資家から今後支援を得られる可能性にも言及した。

ウェバー氏が円滑な統合実現の処方箋として挙げたのは、計画立案能力やスピードのほかに、資金的余裕のない保険会社や政府などが求める医療における高レベルの技術革新をもたらさない治験薬開発を「間引く」ことに力を注ぐ方針だ。

同氏は「それほど革新的ではない資産に無駄な資源を費やさないのが大事だ」と語り、成功しない開発プログラムを取りやめるか、スピンオフ(分離・独立)させていくつかのバイオ医薬品企業を設立し、出資を続ける方針を表明。特にこうしたスピンオフは過去に10回程度実施した戦略だと付け加えた。

ウェバー氏は、2000年にグラクソ・ウエルカムとスミスクライン・ビーチャムが合併して生まれたグラクソ・スミスクラインの出身で、医薬品大手同士の統合の難しさは直接経験済み。「モメンタムを維持し、混乱を引き起こさないことが極めて大切になる。われわれは研究開発に成長を依存している」と強調した。

237年の歴史があり、かつて漢方薬を販売していた武田と、1986年にイングランド南部の商店で生まれたシャイアーには、埋めるべき大きな企業文化の差がある。

ただウェバー氏は、シャイアーが基礎研究よりも完成に近い医薬品の開発を重視し、閉鎖が必要な大規模研究施設を保有していない点は重大なメリットだと指摘。「一般的な合併・買収(M&A)よりもずっと混乱が小さくなると思う」と主張した。

武田は統合完了後の3年で少なくとも14億ドルの経費節減効果を生み出すと見込んでおり、削減対象には6億ドルの研究開発費用も含まれる。開発プログラムの重複をなくしたり、合理化することで達成するという。

ウェバー氏は、武田のいくつかの既成薬に対する研究開発投資が終わりつつある点が経費節減効果につながると説明する。それでも現在の両社合計の研究開発費44億ドルから見て、6億ドルを削る影響は大きい。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米CB消費者信頼感指数、2月は91.2に上昇 雇用

ワールド

ウクライナ大統領「独立守った」、ロ侵攻から4年 G

ワールド

米、重要鉱物価格設定にAI活用検討 国防総省開発

ビジネス

AIが雇用市場を完全に覆すことはない=ウォラーFR
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 5
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 6
    3頭のクマがスキー客を猛追...ゲレンデで撮影された…
  • 7
    「極めて危険」──ゼレンスキー、ロシアにおける北朝…
  • 8
    IMF、日本政府に消費減税を避けるよう要請...「財政…
  • 9
    「IKEAも動いた...」ネグレクトされた子猿パンチと「…
  • 10
    武士はロマンで戦ったわけではない...命を懸けた「損…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 5
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 8
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 9
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 10
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中