最新記事

映画

韓国、アベンジャーズ1000万人の大ヒット その影でヤバすぎる誤訳問題が炎上

2018年5月19日(土)23時10分
杉本あずみ(映画配給コーディネーター)


結末が変わってしまう誤訳



「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」の誤訳問題を伝える韓国メディア YTN / YouTube

今回25日の公開直後から炎上したのが、字幕翻訳の「誤訳」問題である。25日の公開初日、すでにチケットは売り切れ続出でのなか、プレミアチケットを手にした映画ファンたちは意気揚々と映画館を訪れて新作を楽しんだ、はずだった......。しかし、その後ネットを中心に映画字幕の誤訳問題が浮上。「誤訳によって一部内容が正しく理解できず、見方によっては結末が変わってしまう水準だ!」と多くのファンたちが騒ぎ出した。

具体的な例を挙げてみよう。ドクター・ストレンジがアイアンマンのトニーに言ったセリフ「We're in the endgame now.」。2019年公開予定の続編に続く重要なセリフだったが、字幕では「이젠 가망이 없어(もう見込みはない)」と訳された。エンドゲームという単語がもう手立てがないという連想をさせるが、実は「最終段階/終盤戦」という意味になる。つまり「ついに終盤戦に入ったんだ」と訳されるべきセリフだった。

その他、クッキー映像(映画本編が終了してスタッフクレジットが流れた後の特別映像)で、サミュエル・L・ジャクソンが言った「Mother fxxxx.」。言わずと知れたアメリカの悪口だが、こちらもそのまま「お母さん」と訳された。これ以外にも約10カ所以上もの誤訳がファンによって発見され、ネットにはまとめサイトまで登場した。

今回、アベンジャーズ3の字幕翻訳を担当したのは、韓国でもトップクラスの翻訳家パク・ジフンだ。韓国でハリウッド映画を見た事がある人なら、もしかしてその名前を見たことがある人もいるかもしれない。今までに「007スカイフォール」「キャプテンアメリカ」「バットマン vs スーパーマン」など、韓国内で公開されたハリウッドの大作映画の約半分をパク氏が翻訳したといって過言ではない。ただ、人気の高い映画やマニアが多い映画の翻訳も多く手掛けるため、ネット上で字幕の誤訳や質についてたびたび取り沙汰される人物である。

さて、今までもパク氏の誤訳は少なからずあったものの、なぜ今回はニュースでも取り上げられるほど事が大きくなったのか? もちろん映画自体の人気の高さとファン達が期待していた作品だという点もあるが、何よりも韓国政府が運営する「国民請願」に嘆願が届けられたことで一躍注目が集まったのだ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

バーゼル銀行監督委、銀行の気候変動リスク開示義務付

ワールド

訂正-韓国大統領、日米首脳らと会談へ G7サミット

ワールド

トランプ氏、不法滞在者の送還拡大に言及 「全リソー

ビジネス

焦点:日鉄、巨額投資早期に回収か トランプ米政権の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中