最新記事

朝鮮半島

一国二制度「連邦制統一国家」朝鮮?──半島問題は朝鮮民族が解決する

2018年4月3日(火)17時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

3.第3回統一案:1980年10月

1980年10月に開催された第6回朝鮮労働党大会において、「高麗連邦制案」を提案した。これは韓国の朴槿恵(パク・クネ)前大統領の父親である朴正熙(パク・チョンヒ)大統領が1979年10月に暗殺されたことがきっかけとなっている。この時期の韓国の混乱を利用して、北朝鮮は「高麗民主連邦共和国」の建国を提案した。

以上のどの場合においても、韓国側もまた別途、統一方案を提起している。

4.1987年に提案されていた機密文書

3月30日付のコラム「中朝首脳会談から見る非核化問題――機密解除された外交文書から」で触れたように、1987年12月にワシントンのホワイトハウスで開かれた米ソ首脳会談の際、当時のソ連のゴルバチョフ書記長が北朝鮮の依頼を受けてレーガン米大統領に文書を渡していた。そこに描かれているのは、「中立」を軸に据えた連邦制統一方案だ。つまり、「南北が第三国と締結した民族の団結に反するあらゆる協定・条約を破棄する」ことが書かれており、これらから、北朝鮮が言うところの「朝鮮半島の非核化」は「米中両大国からの中立」を意味していることになる。

中国はどう見ているのか

問題は中国は、この「一国二制度」的な「連邦制統一国家構想」をどう見ているかである。

まずメリット。

言うまでもなく在韓米軍が撤退せざるを得なくなるので、そこは大歓迎だ。付設しているレーダーが中国の東北一帯の軍備配置を一望できるTHAAD(サード)の韓国配備もなくなる。大いに結構だと思うだろう。

もう一つ中国にとってのメリットは、朝鮮半島から「核」がなくなれば、中国の北からの核ミサイル脅威は完全に消えるだけでなく、アメリカが明確にはしていない(撤退させたと言っている)韓国にあるかもしれない核兵器に対しても警戒しなくて済むようになる。

南北朝鮮との経済交流も何ら制限を受けることがないようになれば、中国にとって、こんなありがたいことはない。北朝鮮に眠る豊富なレアメタルなどの地下資源、それから中国の東北一帯の改革開放を滞らせてしまった「海への連結」も、北朝鮮の港を使うことにより改善される。

ともかくアメリカによる北朝鮮への先制攻撃が無くなれば、中国は戦争に巻き込まれなくてすむので、一党支配体制維持には好都合だ。

だから朝鮮半島に「異なる政治体制を併存させたままの一国二制度的な、朝鮮族による統一国家ができること」には賛成ではある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中東情勢関係閣僚会議をあす開催=高市首相

ワールド

中国、燃料価格上限の引き上げ幅縮小 原油高の影響緩

ビジネス

金現物、一時8%下落し4カ月ぶり安値 中東紛争でイ

ワールド

ロンドンでユダヤ系団体所有の救急車放火、憎悪犯罪の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 2
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店員も「なすすべなし」の暴走モード
  • 3
    「カメラの目の前」で起きた爆発の瞬間...取材中の記者に、イスラエル機がミサイル発射(レバノン)
  • 4
    「胸元を強調しすぎ...」 米セレブ、「目のやり場に…
  • 5
    スウェーデン次期女王ヴィクトリア皇太子、陸軍訓練…
  • 6
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    「筋力の正体」は筋肉ではない...ストロングマンが語…
  • 9
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 10
    人気セレブの「問題ビデオ」拡散を受け、出演する米…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 4
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 6
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 9
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 10
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中