最新記事

米軍事

アメリカの2度目のシリア攻撃は大規模になる

2018年4月13日(金)18時00分
リース・ドゥビン、ダン・デ・ルーチェ

シリアの首都ダマスカス。アサド大統領のポスターの前で警備に当たるロシア軍とシリア軍兵士。米軍が大規模な攻撃を仕掛ければ、ロシアとぶつかる危険がある Omar Sanadiki-REUTERS

<トランプ政権が化学兵器使用への制裁でシリアを再び攻撃するなら、化学兵器使用を止められなった1年前のミサイル攻撃より大規模でなければならない>

もしドナルド・トランプ米大統領が、シリアの首都ダマスカス近郊で4月7日に起きたシリア政府によるとみられる化学兵器使用を受けて攻撃に踏み切るなら、1年前のような限定的な攻撃でなく、より大規模な軍事作戦になるのはほぼ確実だ。

「シリアのバシャル・アサド大統領が、2度と化学兵器を使う気にならないほど懲らしめるには、前回より攻撃対象を広げる必要がある」と、米シンクタンク、新アメリカ安全保障センター(CNAS)のニコラス・ヘラス研究員は言う。「シリア軍を事実上無力化するぐらいの規模だ」

1年前、トランプ政権はアサド政権がシリア北西部イドリブ県ハーンシャイフーンで猛毒の神経剤サリンを使用したことへの対抗措置として、米軍の巡航ミサイル「トマホーク」でシリアの空軍基地を攻撃。メディアもそれを大々的に報じた。だが1回限りの攻撃では、アサド政権による化学兵器の使用を止められなかった。

それでも化学兵器を使い続けたアサド

米軍は、当時シリア軍が化学兵器による攻撃の拠点にしていた空軍基地に向けて、地中海の洋上からトマホーク59発を発射したが、シリア政府が保有する化学兵器や軍事能力に深刻な打撃を与えることはできなかった。実際、米軍の攻撃を受けた数時間後には、同じ空軍基地からシリア軍の戦闘機が飛んでいた。

アサド政権はそれ以降も、全域で反政府勢力との戦いに化学兵器の使用を続けた。ハーンシャイフーンでのサリン攻撃の後も最低2回、塩素ガスを使用した。だが国際社会はほとんど反応を見せず、アメリカも報復しなかった。

そうした経緯に加えて、超タカ派と言われるジョン・ボルトン元米国連大使が国家安全保障担当の大統領補佐官に就任したことで、トランプ政権が大規模な軍事行動に乗り出す可能性はますます高まっている。

「失うものが大きいからと言って攻撃を前回より手控えるようなことをすれば、トランプ政権の権威が失墜しかねない」、と米議会関係筋は言う。

ヘラスによれば、米軍はシリアの西部と東部の両方で、シリア政府軍の拠点を標的にした攻撃に踏み切る可能性がある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米シェール企業、原油100ドルでも「増産せず」 高

ビジネス

VW、独工場の防衛部品工場転換でイスラエル企業と協

ビジネス

SKハイニックス、米国上場へ非公開届出 最大140

ビジネス

午前のドルは158円後半でもみ合い、イランの対応注
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆保険」を達成した中国の医療保険の実態とは
  • 2
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 3
    【クイズ】2年連続で「世界幸福度ランキング」で最下位になった国はどこ?
  • 4
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 5
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 6
    スペイン王室、王妃と王女の装いに見る「母から娘」…
  • 7
    意外と「プリンス枠」が空いていて...山崎育三郎が「…
  • 8
    「買ったら高いじゃん?」アカデミー賞会場のゴミ箱…
  • 9
    まずサイバー軍が防空網をたたく
  • 10
    「日本人のほうが民度が低い」を招いてしまった渋谷…
  • 1
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 2
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 5
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 6
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 9
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 10
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中