最新記事

仮想通貨

日銀の仮想通貨発行、強力な金融政策効果を発揮=中島・麗澤大教授

2018年2月22日(木)13時19分

2月22日、ブロックチェーン技術(分散台帳技術)を応用すれば、デジタル通貨にマイナス金利やプラスの金利を付与することができ、現在の金融政策よりもダイレクトに効果が出る──。中島真志・麗澤大学教授は、金融政策に新たな政策手段を加えることが可能との見方を示す。写真はブロックチェーン技術が支えている仮想通貨のビットコイン。3日撮影(2018年 ロイター/Dado Ruvic)

ブロックチェーン技術(分散台帳技術)を応用すれば、デジタル通貨にマイナス金利やプラスの金利を付与することができ、現在の金融政策よりもダイレクトに効果が出る──。中島真志・麗澤大学教授は、金融政策に新たな政策手段を加えることが可能との見方を示す。ただ、実現するまでには数多くのハードルをクリアする必要がありそうだ。

金融政策効果、間接的から直接的に

中島教授は、日銀に在籍し金融研究所に勤務していた際に、1990年ごろから始まった「電子現金プロジェクト」と呼ばれていたデジタル通貨の研究に携わった経験もあり、資金決済やそのシステムに詳しい。

中島教授によると、中央銀行がデジタル通貨を発行し、銀行券のように広く利用されるになると、デジタル通貨自体にマイナス金利やプラス金利を自由に付けることによって、電子台帳上でデジタル通貨の残高を減額あるいは増額できるようになる。

具体的には「デジタル通貨が銀行券のように広く普及した世界においては、金融緩和による金利引き下げの代わりに、中央銀行が台帳の残高を一定期間ごとに一律に減らしていけば、電子的な形で、マイナス金利を付けることができる」と説明。

「1000円が1年後に990円に減るようにすれば、1%のマイナス金利を実現できる。そうすれば人々はなるべく早く通貨を使うようになり、消費や投資が刺激され、景気が上向くことが期待できる」と解説する。

逆に「プラス金利の場合は台帳上の残高が増えていくことになり、景気過熱が抑制されることになる」と話し、現行の金融機関を仲介した金融政策よりも、緩和や引き締めの効果が強くなるとみている。

すでにイングランド銀行の論文では、デジタル通貨を「第2の金融政策手段」と呼んでおり、景気変動に対する機能が大幅に強化されると予想しているという。

必要な取り付け防止策

一方で、中銀デジタル通貨が、金融不安定化につながる面も指摘している。デジタル通貨と銀行券が併存しているケースでは、例えばマイナス金利のデジタル通貨から金利ゼロの現金へのシフトが発生したり、逆にデジタル通貨の金利が高ければ、預金から大量の資金が流失し、「取り付け騒ぎ」が起きかねないリスクもある。

銀行経営が全般に不安定化している環境下で、このような資金シフトが発生すると、現在よりも数段速いテンポで資金が流出し、結果的に金融不安を増幅させる効果が出ることも予想されるという。

中島教授は「デジタル通貨の発行やそれに対する付利については、このように金融政策面からの検討のみならず、プルーデンス政策の面からの配慮も求められる」と指摘している。

(中川泉 編集:田巻一彦)

[東京 22日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国やG7と連携、冷静・毅然に対応=中国輸出規制で

ビジネス

PEのクアンタム、ルクオイル海外資産に入札 シェブ

ビジネス

ユーロ圏消費者物価、12月2%に減速 ECB目標と

ワールド

ウクライナ高官、「国益守られる」と評価 有志国会合
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    日本も他人事じゃない? デジタル先進国デンマークが「手紙配達」をやめた理由
  • 4
    「見ないで!」お風呂に閉じこもる姉妹...警告を無視…
  • 5
    トランプがベネズエラで大幅に書き換えた「モンロー…
  • 6
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじ…
  • 7
    「悪夢だ...」バリ島のホテルのトイレで「まさかの事…
  • 8
    若者の17%が就職できない?...中国の最新統計が示し…
  • 9
    衛星画像で見る「消し炭」の軍事施設...ベネズエラで…
  • 10
    マドゥロ拘束作戦で暗躍した偵察機「RQ-170」...米空…
  • 1
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 4
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 7
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 8
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 9
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 10
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中