最新記事

貧困

飽食ニッポンにも飢餓は存在する

2018年2月22日(木)15時00分
舞田敏彦(教育社会学者)

18歳以上の国民を年齢と学歴の軸で9つの層に分け、それぞれの飢餓経験率を計算してみた。学歴社会の日本では、低学歴層ほど飢餓の頻度は高いはずだ。年齢も重要で、最近指摘される若者の貧困が可視化されるかが注目される。

<図1>は結果をグラフで示したものだ。18歳以上の国民を正方形に見立て、9つの層の人数比で区分けし、各層の飢餓経験率に応じて色分けをした。白は5%未満、グレーは5%以上で10%未満、黒は10%以上だ。

maita180222-chart02.jpg

社会の高齢化が進んでいるために50歳以上の比重が高い(横軸)。また大学進学率が上がっているため、若年層ほど高等教育卒の割合が高い(縦軸)。飢餓経験率をみると、若年層・低学歴層ほど高くなっている。30歳未満の義務教育卒(中卒)の群では17.9%、6人に1人が飢えを経験している。

左下の若年・低学歴層に困難が凝縮されていることが見て取れる。高齢化・高学歴化が進んだ現代日本の飢餓経験の分布図だ。

日本は豊かな社会だが、大多数から外れた不利な層の状況が見えにくい。冒頭の「おにぎり食べたい事件」をレアケースと取ってはならないだろう。その予備軍は決して少なくない。生活保護費が大幅削減される見通しだが、このような悲劇が再現される懸念が出てくる。

目を凝らして見ると、飽食の国・ニッポンでも飢餓は存在する。その一方で、まだ食べられる食品が年間621万トンも捨てられている(2014年度、環境省推計)。1人の国民が毎日、茶碗1杯分の食べ物を捨てていることになる。こうしたロスを減らす対策も求められている。

<資料:『第6回・世界価値観調査』(2010~14年)

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米軍、西半球国防当局者会議を2月11日に主催

ワールド

EU、平和評議会のトランプ氏への権限集中に「深刻な

ワールド

トランプ氏移民政策、相次ぐ市民射殺で選挙戦の争点に

ワールド

トランプ氏、英兵士を「勇敢」と称賛 アフガン発言へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 2
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰に地政学リスク、その圧倒的な強みとは?
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 5
    「楽園のようだった」移住生活が一転...購入価格より…
  • 6
    「外国人価格」で日本社会が失うもの──インバウンド…
  • 7
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 8
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 9
    私たちの体は「食べたもの」でできている...誰もが必…
  • 10
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 1
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 2
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 3
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味を帯びる「超高齢化」による「中国社会崩壊」
  • 4
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 5
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 6
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 7
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 8
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 9
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 10
    韓国が「モンスター」ミサイルを実戦配備 北朝鮮の…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 7
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 10
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中