最新記事

経済制裁

米国、北朝鮮に近く追加制裁 ペンス副大統領「かつてなく厳しい」

2018年2月7日(水)20時19分

2月7日、来日中のペンス米副大統領(写真)は安倍晋三首相とそろって会見し、北朝鮮を「世界で最も独裁的な、残酷な国」と表現した上で、さらなる制裁を打ち出す方針を明らかにした(2018年 ロイター/Toru Hanai)

来日中のペンス米副大統領は7日午後、安倍晋三首相との会談後にそろって会見し、北朝鮮に対する「かつてなく厳しい」独自の追加制裁を近く発表する方針を明らかにした。両者は北朝鮮が平昌冬季五輪を機に融和姿勢を見せていることをけん制し、朝鮮半島の非核化を目指して最大限の圧力をかけ続けることで一致した。

「五輪を政治宣伝に利用させず」

ペンス氏は9日から韓国で始まる平昌冬季五輪の開会式に出席する前に、日本に立ち寄った。北朝鮮が五輪参加を機に揺さぶりを掛ける中、ペンス副大統領と安倍首相は会談で、圧力のさらなる強化と、韓国を合わせた3カ国で緊密に連携する方針を確認した。公海上で北朝鮮船との間で積荷をやり取りする「瀬取り」を含め、北の制裁回避を阻止する方策についても協議した。

ペンス副大統領は「北朝鮮が五輪をプロパガンダ(政治宣伝)に利用することはさせない」と発言。「(五輪では)選手を応援するとともに、同盟国と肩を並べ、北朝鮮が世界の最も独裁的な、残酷な国であることを伝えたい」と語った。

さらにペンス氏は、北朝鮮がこれまでも五輪参加後に再び挑発行為に及んだり、核開発計画を廃棄する約束をたびたびほごにしてきた過去に言及。「過去の過ちは繰り返さない。北朝鮮に優しくすると、さらなる挑発につながるだけ。すべての選択肢をテーブルに置く」と強調した上で、「かつてない、厳しい制裁を発表する」ことを明らかにした。

会談に同席した西村康稔官房副長官によると、ペンス副大統領は、米政府が独自の追加制裁を近く発表すると説明したという。

一方、安倍首相は会見で、韓国と北朝鮮による南北対話の進展に言及。評価はするとしつつ、「北朝鮮が核・ミサイル開発を執拗に追求している事実は直視すべきだ」と述べた。その上で、「関係国に対し、北朝鮮のほほ笑み外交に目を奪われてはならないことで(ペンス副大統領と)一致した」と語った。

安倍首相も五輪の開会式に出席する予定。その際に韓国の文在寅大統領と会談し、北朝鮮問題を巡る日米韓の強固な協力関係を確認したい考えだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏銀行融資、3月も低調 家計向けは10年ぶり

ビジネス

英アングロ、BHPの買収提案拒否 「事業価値を過小

ビジネス

ドル一時急落、154円後半まで約2円 その後急反発

ビジネス

野村HD、1―3月期純利益は前年比7.7倍 全部門
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 6

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 7

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 8

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中