最新記事

米中関係

米中貿易戦争に発展か 習近平がトランプの「炎と怒り」軽視?

2018年1月24日(水)18時36分


貿易戦争からの回復力

中国で活動する米企業は長い間、外国のテクノロジーを吸収して取って代わろうと意図していると思われる中国政府の政策にいら立ちを覚えてきた。

「問題は、誰が知財を支配し、それをどのように保護するかだ」と、ブッシュ政権で財務次官(国際問題担当)を務め、現在は国際金融協会(IIF)を率いるティム・アダムズ氏は指摘する。

「それに対応するためにメスをどう使うか、また、ハンマーではなくメスを使うことで、実際に行動を変えられるかが問題だ」と同氏は語った。

中国はまず、世界貿易機関(WTO)のルールに違反していないか検討した上で報復に出ると、アダムズ氏は予測。ボーイングの代わりにエアバスのような欧州企業から輸入するというように、米企業に対して次第に圧力を強めていくことが考えられるという。

一方、中国の関税データによると、2017年の対米貿易黒字は2758億1000万ドル(約30.5兆円)に上り、史上最高を記録している。

中国に対して報復措置を取る可能性が高まる中、米企業を買収しようとする中国企業に対して、国家安全保障上の懸念から対策を見直そうとする超党派の動きがワシントンで拡大している。こうした買収の動きの対象となっている米企業は、中国市場から締め出されている業界のものが多い。

だが中国では、米国のそのような努力は裏目に出ることは必至、との見方が大勢を占めている。

「政治的に見て、トランプ政権は中国との経済・貿易関係が緊張することには耐えられない。貿易戦争となれば、中国の方が回復力があるからだ」と、中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報は14日伝えている。

中国商務省は米財界代表団や大きな貿易摩擦のリスクについてはコメントしなかったが、中国は自衛のために必要なあらゆる措置を講じるとしている。

妥協せず

たとえトランプ政権が米テクノロジー部門の一部が予想しているように「限定的な関税」を課すとしても、モノとサービスの年間貿易額6000億ドル超のうち、わずか数パーセンテージ・ポイントにすぎないだろうと、中国の専門家は指摘している。

だが、輸出に依存する中国の地方政府にとって、米国の脅しは軽視できない問題だ。浙江省のある当局者はロイターに対し、トランプ政権が措置を講じる可能性について懸念を示した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国製造業PMI、11月は2カ月連続50割れ 需要

ビジネス

豪証取、情報開示システムに障害、一部復旧も約80銘

ワールド

香港火災、警察が建物の捜索進める 死者146人・約

ビジネス

新発5年債1.375%、長期金利1.87%に上昇 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業界を様変わりさせたのは生成AIブームの大波
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    メーガン妃の写真が「ダイアナ妃のコスプレ」だと批…
  • 5
    「世界で最も平等な国」ノルウェーを支える「富裕税…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    コンセントが足りない!...パナソニックが「四隅配置…
  • 8
    中国の「かんしゃく外交」に日本は屈するな──冷静に…
  • 9
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 10
    「世界一幸せな国」フィンランドの今...ノキアの携帯…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 4
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 5
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 8
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中