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イスラエル諜報相「イラン核保有を阻止、軍事力の行使も辞さず」

2017年10月26日(木)19時27分

10月26日、来日中のイスラエルのカッツ諜報相は、ロイターとのインタビューで、イランの核保有を阻止するため、必要であれば軍事力の行使も辞さない考えを示した。写真はエルサレムで昨年9月撮影(2017年 ロイター/Ronen Zvulun)

来日中のイスラエルのカッツ諜報相は26日、ロイターとのインタビューで、イランの核保有を阻止するため、必要であれば軍事力の行使も辞さない考えを示した。

都内のホテルでインタビューに応じたカッツ氏は「トランプ米大統領が主導する国際的な努力が、イランの核能力保有を止められないならば、イスラエルは単独で軍事行動を起こす」と指摘。「イランが核を保有できないよう(核合意を)見直すことは可能だ」と述べた。

イランの核開発をめぐっては、オバマ米政権の時代、計画を凍結する代わりに経済制裁を一部解除することで欧米諸国とイランが合意した。

トランプ大統領は今月13日、イランが核合意を順守していないとしたうえで、米議会に対し、イランへの経済制裁を再発動するかどうか60日以内に決定するよう要請した。

イスラエルが軍事行動をちらつかせることで、米国内ではイランの核開発阻止に向けた新たな制裁を求める声が広がる可能性がある。

一方で、イランの強硬派の反発を招いたり、核合意の維持を求める欧州諸国と米国の間に亀裂を生む恐れもある。

イスラエルは、1981年にイラクの原子力施設を攻撃。2007年にもシリアの原子力施設を攻撃した可能性が指摘されている。

23日から来日しているカッツ諜報相は、日本政府にもイランへの制裁を支持するよう働きかけた。カッツ氏は「トランプ大統領が主導する核合意見直しの動きを支持するよう、日本に要請した」としたうえで、「日本企業の動きは、非常に重要だ」と述べた。

カッツ氏は現在の核合意について、ウラン濃縮活動などの自粛期限が設けられていることを問題視。期限を撤廃するとともに、イランが新たな遠心分離機を開発しないよう制裁を強化することを求めている。

また、弾道ミサイルの開発中止と、シリアがイランによって対イスラエルの攻撃拠点とならないことも求めている。

(ティム・ケリー、久保信博 編集:田巻一彦)

[東京 26日 ロイター]


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