習近平と歩む中国の「バブル世代」 苦労知らずの若者が抱く楽観主義

10月17日、民主化運動が弾圧された天安門事件以降に生まれ、空前の経済成長下でほとんどが一人っ子として育ち、近年で最も強力な指導者、習近平氏が権力に就く時に成人した──。彼らを、中国の「バブル世代」と呼ぼう。写真は英語講師のFu Shiweiさん。武漢で9月撮影(2017年 ロイター/John Ruwitch)
民主化運動が弾圧された天安門事件以降に生まれ、空前の経済成長下でほとんどが一人っ子として育ち、近年で最も強力な指導者、習近平氏が権力に就く時に成人した──。彼らを、中国の「バブル世代」と呼ぼう。
繁栄と平和の中で育った世代であり、彼らの祖父母や親の世代が味わった「吃苦(苦しみに耐える)」を体験することなくここまできた。
習氏が任期5年の国家主席として再任されるにあたり、ロイターは「バブル世代」の若者をより深く知ろうと、習氏が国家主席になった5年前の2012年に大学を卒業して就職した男女10人に取材した。
彼ら「2012年組」は、1990年代にこの国に生まれた1億9000万人の若者のほんの一部だ。しかし「習近平の中国」と、その遺産を引き継ぐ世代の内情について、重要な洞察を与えてくれた。
彼らは北京、上海、成都、武漢、そして湖北省蒲団などに住み、家庭環境は多様だ。彼らの親も、工場の元所有者や、飲食店経営者、医者、建設作業員、役場職員や、学校の事務員と多岐にわたる。
彼ら10人は、北京にある中国有数の経済系大学、武漢にある地方大学、成都にある技術大のいずれかを卒業しており、限られた人数しか高等教育を受けることのできない中国では、恵まれているといえる。
それぞれの経験は時に大きく異なるが、共通項も多い。
楽観的でオープンな考え方を持ち、思ったまま行動する傾向がある一方で、祖先や家族に対する義務も重要だと考えている。独身者の一部が結婚のプレッシャーを感じている一方で、伝統的な生き方を拒否する人もいる。
「この世代の良いところは、人生の方向性が多様なことだと思う」と、 27歳のWu Qiongさんは言う。Wuさんは、武漢の女性保険営業員と幼稚園の園長の娘だ。「本当に、皆が同じように生きるより、自分の人生をどう生きたいかを知っている」
彼らは、旅と経験を渇望しており、おおむね恵まれた環境で育った。衣食面で必要なものはほとんど手に入ったし、任天堂の「ゲームボーイ」やバケーションなど、必要以上のものを手にすることもあった。
毎年続く異例の経済成長に慣れきっており、痛みを伴う減速など想像もできない。彼らの世界においては、不動産価格とは上昇するもので、成功を望む若い世代にとって「もろ刃の剣」となっている。