最新記事

核実験

北朝鮮、太平洋での水爆実験あり得るか? 専門家は「大災害」を指摘

2017年9月25日(月)15時38分

 9月22日、北朝鮮外相が太平洋での水爆実験の可能性に言及したことについて兵器専門家は、理屈の上ではあり得るが、極めて挑発的な行動である上、大きなリスクを伴うとの見方を示した。写真は、中距離弾道ミサイル「火星12」の発射を見守る金正恩朝鮮労働党委員長。KCNAが16日提供(2017年 ロイター)

北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)外相が太平洋での水爆実験の可能性に言及したことについて兵器専門家は22日、核弾頭を搭載したミサイルを太平洋上で爆発させる実験は水爆開発の成功を誇示するための最終手段として理屈の上ではあり得るが、極めて挑発的な行動である上、大きなリスクを伴うとの見方を示した。

李外相は、トランプ米大統領が北朝鮮を「完全に破壊する」と警告したことを受けて、金正恩朝鮮労働党委員長は太平洋でかつてない規模の水爆実験を検討していると述べた。

韓国国防安全保障フォーラムの上席研究員のヤン・ウク氏は李外相の発言について、「弾頭を搭載した中距離弾道ミサイルの『火星12』と『火星14』を発射し、太平洋上数百キロメートルの地点で爆発させることを意味している可能性がある」とした。

その上で「はったりかもしれないが、北朝鮮は核弾頭を搭載したミサイルの能力を検証する必要がある。計画は準備済みの可能性があり、実験を実行する口実としてトランプ大統領の発言を使おうとしている」と述べた。

国際原子力機関(IAEA)によると、大気圏内での水爆実験は1980年に中国が実施して以来初めてとなる。

マサチューセッツ工科大のビピン・ナラング助教(政治科学)は太平洋上の水爆実験について「あり得ると想定する必要があるが、極めて挑発的な行為だ」と指摘。まだ数回しか実験していないミサイルに核弾頭を搭載し、人口密集地の上空を飛行させることになり、計画通りに進まないと大災害を引き起こす恐れがあるとした。

ミドルベリー国際大学院のシニアリサーチャー、メリッサ・ハンハム氏は、核弾頭を搭載したミサイルは日本の上空を通過するだろうと予測。「北朝鮮は水爆の完成を疑う声を封殺したいのだ」と述べた。

[ソウル/東京 22日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米国務長官、サウジ到着 ムハンマド皇太子とガザ情勢

ワールド

米、ウクライナ戦争終結へ何が可能か判断 18日外相

ワールド

ロシア副首相、OPECプラスの減産縮小延期を否定=

ビジネス

FRB、利下げにはインフレ低下の確信強まる必要=ボ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞が浄化される「オートファジー」とは何か?
  • 2
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防衛隊」を創設...地球にぶつかる確率は?
  • 3
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VATも標的に
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 6
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 7
    イスラム×パンク──社会派コメディ『絶叫パンクス レ…
  • 8
    ロシアの戦車不足いよいよ深刻...「独ソ戦」時代のT-…
  • 9
    ドイツ国防「問題だらけ、解決策皆無」「ドローンは…
  • 10
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 1
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だった...スーパーエイジャーに学ぶ「長寿体質」
  • 2
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 3
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン...ロシア攻撃機「Su-25」の最期を捉えた映像をウクライナ軍が公開
  • 4
    2025年2月12日は獅子座の満月「スノームーン」...観…
  • 5
    【徹底解説】米国際開発庁(USAID)とは? 設立背景…
  • 6
    イスラム×パンク──社会派コメディ『絶叫パンクス レ…
  • 7
    週に75分の「早歩き」で寿命は2年延びる...スーパー…
  • 8
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 9
    iPhoneで初めてポルノアプリが利用可能に...アップル…
  • 10
    【クイズ】今日は満月...2月の満月が「スノームーン…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 9
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 10
    戦場に「杖をつく兵士」を送り込むロシア軍...負傷兵…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中