最新記事

ミャンマー

ロヒンギャ難民12万人超 沈黙貫くミャンマーのスー・チーに批判

2017年9月7日(木)18時16分

9月5日、イスラム系少数民族ロヒンギャに対する暴力が続くミャンマーでは、この10日余りで約12万5000人が隣国バングラデシュへ避難する事態に発展。沈黙を続けるアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相に対し、世界から圧力が高まっている。写真は、ロヒンギャ族を支援する集会で、ミャンマー政府とスー・チー氏を批判する人たち。インドネシア首都ジャカルタのミャンマー大使館前で4日撮影(2017年 ロイター/Darren Whiteside)

イスラム系少数民族ロヒンギャに対する暴力が続くミャンマーでは、この10日余りで約12万5000人が隣国バングラデシュへ避難する事態に発展。沈黙を続けるアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相に対し、世界から圧力が高まっている。

国連のグテレス事務総長は安全保障理事会に対して、民族浄化と地域不安定化のリスクを警告。ミャンマーでの暴力が「人道主義的大惨事」に陥る可能性があるとの懸念を表明した、異例とも言える書簡のなかで、抑制と冷静さを強く求めるよう促した。

ロイター記者は5日、新たな数百人規模の疲れ切ったロヒンギャ族が、ボートで国境近くのバングラデシュの村シャムラプールに到着するのを目撃した。この大脱出の終わりが今なお見えないことを示している。

国際移住機関(IOM)は緊急に人道支援を増やす必要があると指摘。新たに到着するロヒンギャ族支援のために、IOMと関連機関は向こう3カ月で1800万ドル(約19.5億円)の資金不足に直面していることを明らかにした。

インドネシアのルトノ外相は、バングラデシュ首都ダッカで同国のハシナ首相と会談後、インドネシア政府はバングラデシュを支援する用意があると表明。「この人道危機を終わらせなくてはならない。繰り返して言いたい。この人道危機を終わらせなくてはならない」と、前日にミャンマーを訪問していた同外相は記者団に語った。

事の発端は、ミャンマー北西部ラカイン州で8月25日、ロヒンギャ族の武装勢力が警察署や軍基地を相次いで襲撃したことだった。その後に発生した衝突や軍の反撃により、これまでに少なくとも400人が死亡、バングラデシュに避難するロヒンギャ族の大脱出を引き起こした。

ミャンマー当局は、家屋に火を放ち市民を殺害したとして、ロヒンギャ族の武装勢力を非難。その一方で、人権監視団体やバングラデシュに逃れたロヒンギャ族は、ミャンマー軍が放火や殺害を行い、彼らを追い出そうとしていると証言する。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン氏、ロは「張り子の虎」に反発 欧州が挑発な

ワールド

プーチン氏「原発周辺への攻撃」を非難、ウクライナ原

ワールド

西側との対立、冷戦でなく「激しい」戦い ロシア外務

ワールド

スウェーデン首相、ウクライナ大統領と戦闘機供与巡り
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
2025年10月 7日号(9/30発売)

投手復帰のシーズンもプレーオフに進出。二刀流の復活劇をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 3
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 4
    「人類の起源」の定説が覆る大発見...100万年前の頭…
  • 5
    イスラエルのおぞましい野望「ガザ再編」は「1本の論…
  • 6
    「元は恐竜だったのにね...」行動が「完全に人間化」…
  • 7
    1日1000人が「ミリオネア」に...でも豪邸もヨットも…
  • 8
    女性兵士、花魁、ふんどし男......中国映画「731」が…
  • 9
    AI就職氷河期が米Z世代を直撃している
  • 10
    【クイズ】1位はアメリカ...世界で2番目に「航空機・…
  • 1
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 2
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び出した父親が見つけた「犯人の正体」にSNS爆笑
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 5
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒…
  • 6
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 8
    高校アメフトの試合中に「あまりに悪質なプレー」...…
  • 9
    虫刺されに見える? 足首の「謎の灰色の傷」の中から…
  • 10
    琥珀に閉じ込められた「昆虫の化石」を大量発見...1…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 9
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中