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米ロに新たな火種、トランプを攻めるプーチン「寝技」外交

2017年8月16日(水)16時35分
ドミトリ・トレーニン(カーネギー国際平和財団モスクワセンター所長)

現代の対立は政治に限定

冷戦時代のソ連は、アメリカと対等な立場で取引しようとした。だが、米ソは対等ではなかったし、最終的にソ連は競争の土俵から自ら転げ落ちた。弱体国家としてスタートしたロシアは、もっと賢くなければならない。柔道家のプーチンは間違いなくそれを理解している。

もっと賢くなるということは、政策別にターゲットを絞り込み、アメリカでも攻撃する領域(政府)と、攻撃するつもりがない領域(ビジネス)を明確にすることだ。軍事面でも緊張は続くが、米ロが近接した場所に軍を展開するシリアやイラクなどで、偶発的な衝突の回避に十分注意しなければならない。

アメリカの情報機関は、今もロシアにとって大きな敵だ。しかしサイバー兵器の威力と脅威が急速に高まるなか、核兵器のように米ロが協力して管理する必要性が出てくるだろう。

冷戦時代の米ソ対立と、現在の米ロ対立の間には多くの違いがある。なかでも大きな違いは、現代の対立は、基本的に政治の領域に限定されていることだ。ロシアはこれを維持し、アメリカとの貿易や技術交流、さらには文化・人道関係への影響は最小限にとどめる必要がある。

ひょっとすると、いつか米ロは敵であることをやめ、「普通のライバル」になるかもしれない。その反対に、かつてのような「宿敵」に戻ってしまう可能性もある。二大核保有国がそんな状況に陥らないことは、世界全体にとっても重要だ。

From Foreign Policy Magazine

<本誌8月8日発売最新号(2017年8月15日&22日号)掲載>

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