最新記事

人身売買

英グラビアモデルを誘拐した闇の犯罪集団「ブラック・デス」とは何者か

2017年8月8日(火)15時04分
アヤスリ・ガヌラーダ

ネットオークションで売られそうになったモデルのアイリーン Chloe Ayling/FACEBOOK

<7月11日に誘拐されたイギリス人モデルが解放された。容疑者は、女性をさらってはネットで売る犯罪集団「ブラック・デス(黒死病)」のメンバーを名乗っている>

イギリス人モデルのクロエ・アイリーンが7月にイタリアで誘拐された事件について、イタリア警察当局は、ダークウェブ(特殊なブラウザでしかアクセスできない、犯罪の温床になっているサイバー空間)で活動する犯罪組織「ブラック・デス」(黒死病、ペストのこと)が関与していることを突き止めた。

【参考記事】闇サイトが「トランプ暗殺」の資金を募集

報道によれば、アイリーンがブラック・デスの実行犯にミラノで誘拐されたのは7月11日のこと(アイリーンはその後解放され、8月6日にイギリスに帰国した)。ダークウェブでは人身売買がはびこっており、ブラック・デスは、女性を誘拐し、ダークウェブ上のオークションを通じて売買していることを公言して知られている。

CNNによれば、イタリア警察は7月17日、アイリーンを伴ってミラノのイギリス領事館に現れたウカシュ・ヘルバを逮捕した。

【参考記事】誘拐犯と結婚 それが私の生きる道

だが、ヘルバがなぜわざわざアイリーンを領事館に連れて行ったのかはよくわかっていない。英大衆紙ザ・サンの報道では、警察はヘルバを逮捕した時、14世紀に黒死病がヨーロッパで猛威を振るった頃のマスク姿の医師が描かれたチラシを発見した。この絵は、同犯罪組織と関連付けられている。

意味不明の手紙

イタリア警察はプレスリリースの中で、ヘルバはブラック・デスの代理人として、アイリーンの身代金30万ユーロ(27万ポンド)相当をビットコインで脅し取ろうとした罪に問われていると述べている。英紙デイリーメールは加えて、ヘルバはアイリーンを誘拐したことを認めたようだと報じている。

デイリーメールはさらに、アイリーン解放後にブラック・デスが彼女に送ったとされる手紙の内容を公表。そこには、彼女の解放は「きわめて寛大な措置だった」と書かれている。

【参考記事】やわらかな日本のインターネット

報道によれば、手紙にはさらにこう書かれている。「間違ってあなたを誘拐した。特にあなたは若い母親だ。どんな状況にあっても誘拐されるべきではない。2番目に重要なことは、(原文のまま)あなたはとてもよくわかっているだろうが、あなたの全面的な安全確保は、大変尊敬されているわれわれの重要メンバーの1人が明確かつ強固に決断したことだ」

手紙はさらに続く。「あなたが自分の国に帰国したことをもって、あなたは、今回の誘拐に関連するいかなる捜査活動をも終了させることになっている。またあなたは、事前に決められた一連の情報をメディアに持ち込むことに同意した。その合意が守られた証拠を近いうちに目にできることを期待している」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ大統領府長官が辞任、和平交渉を主導 汚職

ビジネス

米株式ファンド、6週ぶり売り越し

ビジネス

独インフレ率、11月は前年比2.6%上昇 2月以来

ワールド

外為・株式先物などの取引が再開、CMEで11時間超
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 4
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 5
    「攻めの一着すぎ?」 国歌パフォーマンスの「強めコ…
  • 6
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 7
    エプスタイン事件をどうしても隠蔽したいトランプを…
  • 8
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 9
    メーガン妃の「お尻」に手を伸ばすヘンリー王子、注…
  • 10
    筋肉の「強さ」は分解から始まる...自重トレーニング…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 4
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 7
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 8
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中