最新記事

中国経済

クルーズ旅行ブームの中国、豪華客船建造に本腰 欧州造船業界は警戒

2017年7月26日(水)15時36分


熟練の欧州

国有の中国船舶工業集団(CSSC)は、揚子江の河口に位置する傘下の上海外高橋造船<600150.SS>にイタリア造船大手フィンカンティエリなど欧州のアドバイザーを招き、クルーズ客船建造でいかに競争力をつけるかを学んでいる。

また、フィンランドのバルチラなどの外国サプライヤーにも中国での合弁を組むよう誘致している。

「フィンカンティエリは数百人の職人をここに連れてきた。CSSCは、英国に技術者を派遣して研修させている」と、CSSCのアラン・モン氏は、最近行われたメディア向け説明会で語った。

CSSCが受注した定員5000人のクルーズ客船2隻は、2月にカーニバルとフィンカンティエリと共に交わした15億ドル規模の契約の一部だ。建造に3年かかる予定で、契約にはオプション4隻が含まれる。

フィンカンティエリは、最大顧客のカーニバルから中国を支援するよう求められたと、現地の市場に詳しい業界幹部2人は語る。中国向けクルーズ運航の開発を目指すカーニバルは、中国市場で成長するには地元産業の発展を支援する以外にないと、中国政府から指示されたという。

中国のクルーズ市場は、2030年までに米国に次いで世界2位の規模になるとみられている。

CSSCは、ロイターの取材の申し入れに応じなかった。中国商務省は、企業の問題だとして、コメントを避けた。

カーニバルは、フィンカンティエリに対して今回の造船事業に参加するよう奨励したと認めたうえで、 CSSCと政府系ファンドの中国投資有限責任公司(中国投資)との間で計画中の中国初のクルーズ旅の事業計画は、それとは別に交渉している、と述べた。

フィンカンティエリは、中国市場に参入したのは「市場の大きな将来性を踏まえ、ビジネス機会を分析した結果に基づいたもので、それ以上のものではない」とコメントした。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

AUKUSと日本の協力求める法案、米上院で超党派議

ビジネス

米国株式市場=ダウ6連騰、S&Pは横ばい 長期金利

ビジネス

エアビー、第1四半期は増収増益 見通し期待外れで株

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、金利見通しを巡り 円は3日
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食...止めようと叫ぶ子どもたち

  • 3

    習近平が5年ぶり欧州訪問も「地政学的な緊張」は増すばかり

  • 4

    いま買うべきは日本株か、アメリカ株か? 4つの「グ…

  • 5

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 6

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 7

    迫り来る「巨大竜巻」から逃げる家族が奇跡的に救出…

  • 8

    イギリスの不法入国者「ルワンダ強制移送計画」に非…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 5

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 6

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 7

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 8

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 9

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 9

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 10

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中