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欧州議会が劉暁波釈放要求を決議----G20に合わせて

2017年7月10日(月)16時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

特にトランプ政権誕生後は、背後にキッシンジャーがいて、トランプに影響力を持つ娘のイヴァンカとその夫クシュナーを洗脳し、親中に向かわせている(詳細は『習近平vs.トランプ  世界を制するのは誰か』に)。トランプがもし、親中に走って民主主義的価値観まで失うようだったら、世界は暗黒へと向かう。

しかしEUの欧州議会は多様性に満ち、人権を重んじる民主主義的価値観を失っていなかった。そして、トランプが、習近平との会談を最後の最後に回したということは、せめてもの救いだ。

日本は?

G20には日本も参加しているが、なぜ日本に対しては働きかけなかったのかを、ワシントンの人権派弁護士らに聞いてみた。以前も「日本の日中友好は、中国政府に迎合することによって、中国の民主活動家を排除している」というメールがあったが、今般もまた「日中首脳会談における安倍首相の態度はどうだったか。パンダの赤ちゃんが無事に育っていることを以て日中友好促進を習近平に懇願するなど、人権などとはほど遠い姿勢だ」という、厳しい回答が戻ってきた。返す言葉がない。

G20における各国の姿勢は、「人権問題に対する一種の踏み絵」だと前述のコラム「嘘だらけの劉暁波の病状に関する中共プロパガンダ」で書いたが、その結果はおのずと明らかだろう。

endo-progile.jpg[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』(飛鳥新社、7月20発売予定)『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版も)『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

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