最新記事

欧州議会が劉暁波釈放要求を決議----G20に合わせて

2017年7月10日(月)16時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

欧州議会のタヤーニ議長 Christian Hartmann-REUTERS

7月6日、欧州議会は中国に対して「劉暁波を釈放せよ」という要求を出すことを決議した。それにより中国は欧米から専門医を招かざるを得ないところに追い込まれた。人権を重んじる民主主義的価値観、未だ死なず。

人権を重視して積極的に動いた欧州議会

7月4日付けのコラム「嘘だらけの劉暁波の病状に関する中共プロパガンダ」で「7月7日と8日にはドイツでG20首脳会議が始まる。どの国の首脳が習近平国家主席に『劉暁波に関する人権問題』に関して苦言を呈する勇気があるか。それは一種の踏み絵でもある」と最後に書いた。

この「踏み絵」がEU(欧州連合)の議会組織である「欧州議会」(フランスのストラスブール)で実現された。

その実現に向かって運動したのは、獄中のノーベル平和賞受賞者、劉暁波を応援する中国国内外にいる民主活動家たちだ。彼らは各国大使館などを通してアメリカ、フランス、ドイツなどの首脳に呼びかけ、劉暁波の釈放を求めていた。

特に、7月7日からドイツのハンブルグでG20首脳会議が開催されることに焦点を絞って、欧州議会「緑の党」などに呼びかけた。彼らは喜んで議会で劉暁波釈放に関する議案を提議し、発言を行なった。

たとえばドイツの欧州議会、緑の党元主席(Reinhard BUTIKOFER)は「中国は即刻、劉暁波を釈放し劉暁波とその妻・劉霞の自由を与え、劉暁波が自由に治療を受ける地を選べるようにすべきだ。非人道的な措置は許されない」と主張。

イギリスの議員(Margot PARKER)、ポーランドの議員(Anna Elzbieta FOTYGA)、デンマークの議員(Anders Primdahl VISTISEN)、ハンガリーの議員(aszlo TOKeS)およびフランスの議員(Sylviane H. AINARDI)なども発言した。その他、ギリシャ、ハンガリーやポーランドなど、十数名の議員が発言したという(スペリングは英文字以外は表記が困難なため、多少異なる)。

欧州議会の議員らは、劉暁波の即時釈放とともに、理由なしに逮捕されている台湾の李哲明の釈放も同時に求めている。

李哲明は台湾の民進党元職員で、現在は人権問題に関する活動をしているNGO(非政府組織)職員。今年3月29日に国家安全危害容疑により広東省で拘束された。中国の国家安全危害罪はスパイ行為とか国家分裂を画策する行為などを適用対象としているが、摘発の基準は不透明だ。当局が「疑義がある」と判定するかしないかだけで摘発するか否かが決められ、「いかなる基準で摘発するのか」という具体的な線引きは明らかにされていない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

EU、新たな対ロ制裁提示延期へ トランプ政権要求に

ワールド

トランプ氏、「TikTok米事業に大型買い手」 詳

ビジネス

米輸入物価、8月は0.3%上昇 資本財・消費財の価

ワールド

イスラエル、イエメンのホデイダ港を攻撃=フーシ派系
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 2
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがまさかの「お仕置き」!
  • 3
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 4
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 7
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 8
    「なにこれ...」数カ月ぶりに帰宅した女性、本棚に出…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中