最新記事

中国社会

中国産冷凍餃子に大異変 肉より野菜、そして健康重視へ

2017年6月28日(水)18時43分

中国保健省は4月、健康なライフスタイルを目的とする第2次10カ年計画を開始した。脂肪、塩分、糖分の摂取を控え、「健康的な食生活、健康的な体重、健康的な骨」を目指すよう促す取り組みだ。

中国政府は、2030年までに栄養に対する意識を顕著に改善し、国民1人当たりの塩分消費量を20%削減し、肥満率の上昇を鈍化させたいとしている。

一部の企業は、量よりも利益率の高い豚肉製品へとシフトすべく、販売する製品の構成変更を急いでいる。また、これまではあまり人気のなかったラム(仔羊)肉や牛肉の販売量も増大している。

ハーモニー・ケータリングのリー副社長は、豚肉の提供量は減らしているものの、料理に用いる牛肉やラム肉は増やしているという。

「人々は通常、牛肉のブリスケットのように、脂肪分の少ない牛肉やラム肉を食べているが、豚肉の場合は、「紅焼肉」(ホンシャオロウ)などで、脂肪分の多い部位と少ない部位の双方を取っている」と北京の栄養士チェン・シコン氏は、広い範囲で消費されている豚三枚肉蒸し煮を例に挙げ、そう説明する。

中国の豚肉生産者として首位に立つWHグループは高付加価値市場へと移行し、ソーセージやハムなど欧米スタイルの製品を中国で販売している。その多くは、2013年にWHが買収した米国の豚肉生産最大手スミスフィールドからの輸入品だ。

一部の生産者によれば、最近の豚肉消費の減少には、生産量の急減も部分的に影響している可能性があるという。2013年から2015年にかけて赤字経営が続いたため、農家はブタの肥育頭数を数百万頭も減らしたため、供給が打撃を受け、2016年には豚肉価格が過去最高水準まで上昇した。

だが中国の消費者のあいだでは、食品の価格に無頓着な人が増加している。近年、食肉に関連する安全性の問題が頻発したことで、都市部の中国人は食品の品質に非常に敏感になっている。

昨年ニールセンが中国で行った調査では、望ましくない成分を含まない食品であれば、価格がもっと高くてもよいとの回答が8割を超えた。世界平均の68%に比べて、かなり高い数値だ。

「中国は新たな段階に入っており、豚肉にせよ他の食品にせよ、もはや『たくさんあるほど良い』という単純な話ではなくなっている」と米農務省で上級エコノミストを務めるフレッド・ゲイル氏は指摘する。

(翻訳:エァクレーレン)

Dominique Patton

[北京 20日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米国民、「大統領と王の違い」理解する必要=最高裁リ

ワールド

ロシアの26年予算案は「戦時予算」、社会保障費の確

ビジネス

米8月小売売上高0.6%増、3カ月連続増で予想上回

ワールド

トランプ氏、豪首相と来週会談の可能性 AUKUS巡
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 2
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがまさかの「お仕置き」!
  • 3
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 4
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 5
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 6
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 7
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 8
    「なにこれ...」数カ月ぶりに帰宅した女性、本棚に出…
  • 9
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中