最新記事

イギリス

ロンドンのタワーマンション火災 改修計画に「防火壁」はなかった

2017年6月16日(金)10時00分

 6月14日、少なくとも12人が犠牲となった大規模火災が発生した英ロンドンの高層マンションでは、改修工事が昨年完了。だが、その改修計画を記した文書には、高層住宅の改修時には使用されるべきだと専門家が主張する防火壁についての言及はなかった(2017年 ロイター/Neil Hall)

少なくとも12人が犠牲となった大規模火災が14日発生した英ロンドンの高層マンションでは、改修工事が昨年完了。だが、その改修計画を記した文書には、高層住宅の改修時には使用されるべきだと専門家が主張する防火壁についての言及はなかった。

ロンドンのケンジントン地区に建つ「グレンフェル・タワー」を管理する地元当局は、改修の一環として、大半の階に建物の外側にはめ込まれた断熱パネルのあいだに防火壁が取り付けられていたかどうかについて確認するのを控えた。

改修を担当した建設会社ライドン・グループも、防火壁が使用されていたかについてコメントしなかった。しかし改修は「順守すべき建築規制、防火法規、安全衛生基準を全て満たしている」と述べた。

「われわれはグレンフェル・タワーの壊滅的な火災に衝撃を受けています。被害を受けた方々にお見舞い申し上げます」との声明を、同社の広報担当者は電子メールで発表した。

建築規制を担当する地方自治省も、そのような防火壁が法律で義務づけられているかどうかについての質問を含むロイターの取材要請に応じなかった。

同省はその後、「出火原因についてコメントするのは適切ではない」との声明を発表した。

法律専門家も、防火壁が法で義務づけられているかについて、意見を表明するのを差し控えた。

ロンドンのケンジントン・アンド・チェルシー王室特別区が2012年に発表した計画文書には、外壁に使用されるパネルや材料を詳細に記した改修図が含まれていた。しかし、ロイターの調査によれば、防火壁については言及されていなかった。

同文書に唯一記されていた新たな外装材は、壁補修材、外装用の亜鉛パネル、そしてポリイソシアヌレートでできた断熱パネルだけだった。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

インフレ上振れにECBは留意を、金利変更は不要=ス

ワールド

中国、米安保戦略に反発 台湾問題「レッドライン」と

ビジネス

インドネシア、輸出代金の外貨保有規則を改定へ

ワールド

野村、今週の米利下げ予想 依然微妙
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 2
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 5
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 8
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 9
    『ブレイキング・バッド』のスピンオフ映画『エルカ…
  • 10
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 8
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中