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ロンドンのタワーマンション火災 改修計画に「防火壁」はなかった

2017年6月16日(金)10時00分

同文書が、約600人の暮らす1970年代に建てられた24階建てのグレンフェル・タワー改修の最終設計を示していたかどうかは不明だ。また、業界団体が推奨する防火壁が設置されていたかどうかについても明らかではない。

グレンフェル・タワー下層階のごく一部は難を逃れたが、大半は炎に巻き込まれ、上層階に住む世帯は閉じ込められた。

目撃者によると、ほとんどの住人が寝ているなか、火の手はすぐに上層階まで広がったという。14日遅くに撮影された写真には、ほぼ建物全体が黒焦げになり、煙がくすぶっている様子が写っている。

約870万ポンド(約12億円)が投じられた改修工事は昨年完了した。自治体の文書によれば、断熱・防音効果を高めるため、新しい外壁材が使用され、窓が交換された。

建物の外装に断熱層を設置するのはよくあることだが、一部の建築家や建築安全の専門家はそれによる火災のリスクを認識している。

通常は断熱材で埋められる新たな外装パネルとすでにある壁のすき間が、建物の側面に沿って炎が立ち上る経路となる恐れがあるからだと、専門家は指摘する。

ロンドンの消防当局は、出火原因はまだ不明だとしている。

グレンフェル・タワーを管理するケンジントン・アンド・チェルシー王室特別区は「出火原因についてさまざまな説を耳にしている」としたうえで、「その全てが、すでに着手している正式な調査の一環として徹底的に調べられるだろう」との声明を発表した。

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