最新記事

アメリカ政治

孤立深まるトランプ政権 共和党議員も距離置き始める

2017年5月23日(火)18時21分


数百のポストが空席

トランプ政権は未だに数百の上席ポストを埋められずにおり、次々と持ち上がる問題に孤軍奮闘するしかない状態だ。

司法省や国土安全保障省、教育省で重要ポストが空いている。教育省の高官は「いつになったら空席が埋まるのか、そもそも近い将来に埋まるのか、だれにも分からない」と嘆く。

国務省の最重要級ポストも多くが空席のままだ。複数の高官によると、このためトランプ氏とプーチン大統領との電話会談でも、トランプ氏が機密情報を漏らしたとされるロシアのラブロフ外相らとの会談でも、同省の専門家が背景説明の役割を果たすことはほとんどなかった。

国務省と諜報関連の高官らによると、権力が一握りのトランプ氏側近にますます集中しており、過去の政権に比べて外交や諜報専門家の役割がしぼんでいる。

例えば米外交官2人によると、2月15日のトランプ氏とネタニヤフ・イスラエル首相との会談には、国務省関係者が一人も同席しなかった。過去の政権とは様変わりだ。

国務省報道官はロシア高官との会談についてコメントを避けたが、ネタニヤフ氏および中東との関連については「国務省が関与していないとの主張には根拠がない」と述べた。

全体では、上院の承認が必要な連邦政府ポスト557のうち、500以上が空席となっている。

不満募らせる共和党議員

ここ1週間で危機が次々と浮上したにもかかわらず、ホワイトハウスから連絡がないことに多くの共和党議員は不満を募らせている。

ロシア疑惑について独自の調査を進める上院情報特別委員会のリチャード・バー委員長は不満を隠さない。

トランプ氏が機密情報を漏らしたとの報道が出た翌日の16日朝、バー氏はホワイトハウスと連絡が取れないことを明かし、「たぶん忙しいのだろう」と皮肉った。

ひっきりなしにロシア疑惑捜査への対応に追われ、党員集会で課題に集中できないとこぼす共和党議員もいる。

ある関係者がロイターに語ったところでは、政府から何の指針も示されないため、議会の共和党スタッフは悪いニュースへの対応策を独自に策定し始めた。

ホワイトハウスでは、大統領を擁護する人がどんどん少なくなり、上席スタッフが暴露報道の嵐だけでなくツイッターで時に矛盾する発言を繰り返す大統領への対応に追われている。

ホワイトハウスのある側近は「だれもが疲れ切っている」と語った。

(James Oliphant記者)

[ワシントン 19日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏がアジア歴訪開始、タイ・カンボジア和平調

ワールド

中国で「台湾光復」記念式典、共産党幹部が統一訴え

ビジネス

注目企業の決算やFOMCなど材料目白押し=今週の米

ビジネス

米FRB、「ストレステスト」改正案承認 透明性向上
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 3
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水の支配」の日本で起こっていること
  • 4
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 5
    「信じられない...」レストランで泣いている女性の元…
  • 6
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 7
    メーガン妃の「お尻」に手を伸ばすヘンリー王子、注…
  • 8
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月2…
  • 9
    アメリカの現状に「重なりすぎて怖い」...映画『ワン…
  • 10
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 6
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 7
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 10
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 9
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中