最新記事

アメリカ政治

米予算教書は外交・対外援助3割削減を計画 共和党議員が猛反対

2017年5月24日(水)16時34分

5月23日、米トランプ政権が議会に提出した2018年度(17年10月─18年9月)予算教書では、外交および対外援助予算を約3分の1削減する計画が示された。しかし、共和党議員はこれに強く反発しており、計画が承認される可能性はかなり低いとみられる。写真は米予算教書。ワシントンで撮影(2017年 ロイター/KEVIN LAMARQUE)

米トランプ政権が23日に議会に提出した2018年度(17年10月─18年9月)予算教書では、外交および対外援助予算を約3分の1削減する計画が示された。しかし、共和党議員はこれに強く反発しており、計画が承認される可能性はかなり低いとみられる。

上院で外交・対外援助を管轄する小委員会のグラハム議員は、トランプ政権の外交・対外援助予算削減案は「ソフトパワーを骨抜きにする」と批判。「この予算が実行される場合、米国は世界から撤退し、多くの人々をリスクにさらすことになる」と述べ、「この予算は実現しない」と語った。

予算教書では、外交および対外援助予算の約32%、190億ドル近い削減が提案された。

政権当局者は、外国への非軍事的援助予算の大幅削減について、米国が従来の対外予算を見直す中で外国も相応の費用を負担すべきと述べ、予算カットを擁護した。

予算教書では、エイズ・結核・マラリア対策を含めた地球規模の保健プログラムの予算を約4分の1削減し、65億ドル程度とすることも提案された。

これには、世界中でのエイズ治療、検査、相談を支援する「大統領エイズ救済緊急計画(PEPFAR)」向け予算の削減も含まれる。国務省によると、提案に基づくと、PEPFAR予算は現行の年間約60億ドルから50億ドルに削減される見通し。ただ、PEPFARの資金を通じてHIV治療を受けている患者には治療継続が保証されるという。

予算教書は、国際機関への拠出金の大幅削減も提案。具体的な組織名には言及していない。ただ、北大西洋条約機構(NATO)への拠出は継続するとした。

また、国際社会の平和維持活動費を約15億ドルとし、2017年度から50%以上の削減を提案した。

米国は国連への拠出額が世界で最大。国連の通常予算54億ドルの22%を負担し、平和維持活動費79億ドルの28.5%を負担している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア西部2州で橋崩落、列車脱線し7人死亡 ウクラ

ビジネス

インフレ鈍化「救い」、先行きリスクも PCE巡りS

ワールド

韓国輸出、5月は前年比-1.3% 米中向けが大幅に

ワールド

米の鉄鋼関税引き上げ、EUが批判 「報復の用意」
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岐路に立つアメリカ経済
特集:岐路に立つアメリカ経済
2025年6月 3日号(5/27発売)

関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシストの特徴...その見分け方とは?
  • 2
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が知らないアメリカの死刑、リアルな一部始終
  • 3
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 4
    「ホットヨガ」は本当に健康的なのか?...医師らが語…
  • 5
    ペットの居場所に服を置いたら「黄色い点々」がびっ…
  • 6
    【クイズ】生活に欠かせない「アルミニウム」...世界…
  • 7
    メーガン妃は「お辞儀」したのか?...シャーロット王…
  • 8
    「これは拷問」「クマ用の回転寿司」...ローラーコー…
  • 9
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 10
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言…
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシストの特徴...その見分け方とは?
  • 3
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が知らないアメリカの死刑、リアルな一部始終
  • 4
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 6
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 7
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 8
    ヘビがネコに襲い掛かり「嚙みついた瞬間」を撮影...…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「金の産出量」が多い国は?
  • 10
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 7
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 10
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中