最新記事

経済制裁

北朝鮮の高麗航空、制裁強化へ対応で国内事業を多角化

2017年4月25日(火)08時24分

高麗航空で現在稼働している機体は、ロシア製かウクライナ製の15機で、中国とロシアの給油・整備・修理施設を利用している、と航空関係のデータベースと国連の資料は示している。

昨年入手した運航スケジュールによれば、高麗航空は、平壌と、オラン(漁郎)、ソンドク(宣徳)、サムジヨン(三池淵)を結ぶ多数の国内便を運航している。

秘密主義的な北朝鮮では、企業が収益やコストに関する情報を公開していないため、実施された制裁がこれまでに与えた、あるいは将来的に与える影響を見極めることは不可能である。

だが北朝鮮を訪問した人々によれば、同国の空軍が保有している高麗航空グループは、明らかに事業を拡大しているという。

<タクシーもガソリンスタンドも>

2015年、高麗航空グループは独自のタクシー部門を立ち上げた。平壌市内では、他の国営企業少なくとも8社が運営するタクシーに混ざって、高麗航空のスカイブルーの車両も走り回っている。

平壌各地の店舗では、高麗航空ブランドのコーラ飲料やたばこも販売されている。

高麗航空は昨年後半にソフトドリンク部門に進出した、と北朝鮮への旅行を催行する北京の旅行代理店コリョ・ツアーズのサイモン・コッカレル氏は語る。

1月にはガソリン小売に参入した。「ピョンヤン市内に少なくとも1カ所、恐らく2カ所のガソリンスタンドを保有している」とコッカレル氏は言う。「そう遠くないうちに、他にももっと高麗航空ブランドの商品が売り出されても驚かない」

対北朝鮮制裁に関する違反行為を調査している国連委員会は、2月の報告書のなかで、高麗航空と人民軍空軍のあいだには「境界が存在しない」と述べている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

全国コアCPI、10月は+3.0%に加速 自動車保

ワールド

為替介入「当然考えられる」と片山財務相、無秩序なら

ビジネス

債務残高、対GDP比率引き下げて発散しないようにす

ワールド

シンガポールGDP、第3四半期は予想上回る 25年
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 4
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
  • 7
    幻の古代都市「7つの峡谷の町」...草原の遺跡から見…
  • 8
    【クイズ】中国からの融資を「最も多く」受けている…
  • 9
    中国の新空母「福建」の力は如何ほどか? 空母3隻体…
  • 10
    EUがロシアの凍結資産を使わない理由――ウクライナ勝…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中