最新記事

感染症

この冬忍び寄る鳥インフルエンザの猛威 韓国は史上最悪の事態に

2016年12月20日(火)20時05分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部


korea_ai_main.jpg

韓国での殺処分のようす MBCニュースより


韓国は行政の対策偽装などで過去最悪の事態に

 海を挟んだ隣の韓国では、さらに事態は深刻で、今年高病原性鳥インフルエンザが確認された11月以降、野鳥の感染が25件、家きんでの感染が208件確認されている。これまで378を超える飼養農場で1,991万9,000羽が殺処分された。これは1400万羽が殺処分された2014年を抜き、韓国の全家きんの10%以上にあたり過去最悪の記録となっている。しかも2年前のときには100日間かけて感染が拡大したものに対して、今年はわずか1カ月あまりでここまで拡大しており、今後もさらに被害が増えるものとみれている。

 これをうけて韓国政府は16日警戒レベルを史上初めて、最も高い「深刻」レベルに引き上げた。

 ここまで拡大が広がったのには、防疫体制に問題があるからだと韓国MBCが伝えている。高病原性鳥インフルエンザが確認された飼養農場の3キロ位内には拠点消毒施設を必ず設置しなければいけないのに、一部の自治体は設置をしなかったり、書類上、防疫対策本部を設置したと虚偽報告をしている例もみられたという。また、感染発生地域に出入りする車両についても、入るときと出るときの2度消毒施設を通らなければいけないというルールも徹底されていなかったという。消毒施設自体も24時間体制で稼働させるべきものを、自動車の交通量が少ない深夜には稼働していない例もみられた。

 また政府の動きも日本に比べると遅かったことも指摘されている。日本では先月29日夜9時に新潟県で感染判定が下され、その2時間後には首相官邸に対策室を設置。翌4時37分には自衛隊が殺処分作業に動員されたが、韓国では感染が確認されて5日後に関係省庁の次官会議が開催されるという状態だった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ安全保障に欧州主導の平和維持部隊 10カ

ビジネス

米ボストン連銀総裁、FRB利下げ支持も「ぎりぎりの

ビジネス

米NY連銀総裁「FRBは今後の対応態勢整う」、来年

ビジネス

カナダCPI、11月は2.2%上昇で横ばい コアイ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 4
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 5
    アダルトコンテンツ制作の疑い...英女性がインドネシ…
  • 6
    「なぜ便器に?」62歳の女性が真夜中のトイレで見つ…
  • 7
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 8
    「職場での閲覧には注意」一糸まとわぬ姿で鼠蹊部(…
  • 9
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 10
    世界の武器ビジネスが過去最高に、日本は増・中国減─…
  • 1
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 2
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 5
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 6
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 9
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中