最新記事

日本経済

金融庁、銀行の金利リスク管理を緊急調査 内外の長期金利急上昇で

2016年12月16日(金)10時50分

 12月15日、日米の金利急上昇を受け、金融庁が国内銀の金利リスクの管理体制について緊急調査に乗り出したことがわかった。写真は東京の外為取引会社内の日米国旗。2013年12月撮影。(2016年 ロイター/Yuya Shino)

米国や日本など内外で長期金利が急上昇していることを受け、金融庁が主要行や地方銀行の金利リスクの管理体制について緊急調査に乗り出したことがわかった。複数の関係筋が、ロイターの取材に対して明らかにした。

米大統領選でトランプ氏が当選後、10年米国債利回りは1.8%前後から急ピッチで上昇。14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを決めた後は、2.6%台に乗せた。

日本国債の利回りにも上昇圧力がかかり、マイナス圏で推移していた10年最長期国債利回り(長期金利)はプラス圏に浮上した。

金融庁は、一部の地銀で外債の評価損益が急激に悪化している事態を問題視。主要行や地銀を対象に、金利上昇時の対応状況や市場見通し、今後の対応方針などについて12月から緊急の聴き取りを始めた。

地銀については、外債のポジションや評価損益の減少幅が大きい銀行から調査に着手したが「貸出ビジネスの苦戦で、証券運用で収益を上げている地銀が意外と多い」(金融庁幹部)ため、最終的にはほぼすべての地銀を対象に調査を実施する方針だ。

国際決済銀行(BIS)は11日、金融市場は11月の米大統領選後の債券利回りの上昇や見通しの急変に驚くほど強い耐性を示しているが、先行き不透明感が非常に大きく、今後の調整は激しいものになるとの見解を示した。

金融庁でも、今回の金利急伸が「数年に一度の大きな潮流の変化になる可能性がある」(幹部)との声が強まっており、監督局や検査局に加え、総務企画局で内外の市場分析などを担当するマクロプルーデンス総括参事官室も参加して、実態把握を行なう。

マクロプルーデンス室では、各銀行のCRO(リスク管理担当役員)への聴き取りを検討している。

(和田崇彦、布施太郎 編集:田巻一彦)



[東京 16日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

ソニー、米パラマウントに260億ドルで買収提案 ア

ビジネス

ドル/円、152円台に下落 週初から3%超の円高

ワールド

イスラエルとの貿易全面停止、トルコ ガザの人道状況

ワールド

アングル:1ドルショップに光と陰、犯罪化回避へ米で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 7

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 8

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 9

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中