最新記事

インタビュー

「脳を鍛える」こともマインドフルネスの一種

2016年10月28日(金)16時12分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

Newsweek Japan

<ストレスの多い現代生活には「ブレインフィットネス(=脳を鍛える)」が役立つと、神経科学リサーチ会社のCEOが説く。有酸素運動や瞑想、さらには転職も重要だという、そのアプローチとは?> (写真は「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム」のワークショップで登壇するアルバロ・フェルナンデス、10月21日)

 近年、欧米で「マインドフルネス」が大流行している。仕事で慌てる気持ちや怒りの感情を抑えたり、気分転換によって新しい企画が生まれるなど、その効果に注目した多くの企業が社員向けにマインドフルネスのプログラムを提供している。

 シャープブレインズの最高経営責任者アルバロ・フェルナンデスによれば、「ブレインフィットネス」もそのマインドフルネスのひとつの手法だ。シャープブレインズは神経科学における健康管理と教育手法を専門とするマーケットリサーチ会社だが、同社が提唱するブレインフィットネスとは何なのか。

 このたび、世界経済フォーラムが協力した国際会議「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム」のスピーカーとして来日したフェルナンデスに、ブレインフィットネスやマインドフルネス、脳、さらにはデジタルテクノロジーとの付き合い方について聞いた。

――脳を鍛えるとはどういうことか?

 人間の脳は18歳を境に老化していくと言われるが、その後も成長可能であることが最新研究でわかっている。もちろん年齢とともに脳が衰えてはいくが、いくつになっても脳のキャパシティ(容量)を増やすことは可能で、誰でも年齢以上のキャパシティを保つことができる。

 たとえば、現代の医療ではアルツハイマーを治すことはできないが、60歳で発症するものを80歳というように遅らせることは可能だ。そのためには脳を鍛え、キャパシティを増やすことが重要になる。

【参考記事】記憶力や認知力をアップさせるサプリメントは存在するか

 脳には数百億個から数千億個の神経細胞(ニューロン)がある。そのニューロンを刺激し、ニューロン同士のワイヤーを作り、そしてネットワーク化することを「脳を鍛える」という。これが「ブレインフィットネス」だ。

 フィットネスクラブで体を鍛えることを想像してほしい。もし右腕をムキムキにしたければ、ダンベルを上げることで右腕に筋肉をつけることができるだろう。しかし、もし体の一部だけでなく、体全体を鍛えたければ、ダンベルを上げるだけでなくスクワットもし、水泳をしたり、ダンスをするなど、体全体に働きかける運動・動作が必要になる。普段使わない筋肉や神経に刺激を与えると、今までとは違う動きができるようになる。

 脳についても同じことが言える。詳しくは『脳を最適化する――ブレインフィットネス完全ガイド』(アルバロ・フェルナンデス、エルコノン・ゴールドバーグ、パスカル・マイケロン共著、山田雅久訳、CCCメディアハウス)に書いたが、私が提案する「ブレインフィットネス」は体を動かすだけではなく、マインドフルネスでよく知られる瞑想(メディテーション)や食など、(1)身体面、(2)メンタル面、そして(3)社会的つながりの3つの柱からさまざまなアプローチで総合的に積み上げていくものだ。

【参考記事】脳を健康にするという「地中海食」は本当に効果があるか

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場・午前=主要3指数、日中最高値 米中貿

ワールド

ロシア大統領、北朝鮮外相と会談 両国関係は「全て計

ワールド

トランプ氏、ベトナム産コーヒーの関税免除 貿易協定

ビジネス

訂正-シカゴ連銀公表の米失業率、10月は4.35%
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大ショック...ネットでは「ラッキーでは?」の声
  • 3
    「平均47秒」ヒトの集中力は過去20年で半減以下になっていた...「脳が壊れた」説に専門家の見解は?
  • 4
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 5
    「信じられない...」レストランで泣いている女性の元…
  • 6
    中国のレアアース輸出規制の発動控え、大慌てになっ…
  • 7
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 8
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月2…
  • 9
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 10
    「死んだゴキブリの上に...」新居に引っ越してきた住…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 5
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 8
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 9
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 10
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 9
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中