最新記事

南シナ海

インドネシア、中国との緊張高まる南シナ海南端で大規模演習

2016年10月11日(火)18時43分

10月6日、インドネシア空軍は、中国が領有権を主張する南シナ海の南端で大規模な軍事演習を実施した。写真はC130輸送機からのパラシュート降下訓練を行うインドネシア兵。ナトゥナ諸島のラナイで6日撮影(2016年 ロイター/Beawiharta)

 インドネシア空軍は6日、中国が領有権を主張する南シナ海の南端で大規模な軍事演習を実施した。フィリピンの突如とした米国離れが招いた域内の先行き不透明感を、さらに強めている。

 インドネシアのジョコ大統領はナトゥナ諸島のラナイで、何百人もの軍当局者とともに、戦闘機約70機によるドッグファイト(空中戦)や沿岸目標物への爆弾投下を含む演習を視察した。

「大統領は、戦略的に重要なすべての周辺諸島は、空であれ、海であれ、陸であれ防衛強化されなければならないとの方針を持っている」と国軍のガトット司令官は報道陣に話した。

「われわれの国は傘を必要としている。隅から隅まで守らないといけない」

 ルトノ外相はラナイでの記者会見で、演習が「定期的」なものだと述べたが、それは過去最大の軍事演習であり、ジョコ大統領が6月にナトゥナ諸島沖の軍艦上で開いた閣議に続くものだ。

 インドネシア当局者は、当時のジョコ大統領の軍艦搭乗が、天然ガスが豊富な南シナ海南端の海域で同国海軍が中国漁船を拿捕するなか、中国に対する強烈なメッセージになったと述べる。

 中国はインドネシアが主張するナトゥナ諸島の領有権を争っていないが、その近郊にあるナトゥナ海と呼ばれる海域において「重複する領有権主張」があると指摘し、インドネシアを怒らせた。

 中国は、年間5兆ドル(約520兆円)規模の貿易路となっている南シナ海ほぼ全域の領有権を主張している。ブルネイ、マレーシア、フィリピン、台湾、ベトナムも同海での一部領有権を主張している。

 インドネシアは南シナ海での領有権争いには加わっていないが、中国が同海での領有権主張のために設定した「九段線」に、ナトゥナ諸島周辺水域が含まれているとして反発している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国大統領、サムスンなど企業幹部と会談 トランプ氏

ビジネス

日経平均は3日ぶり反落 最高値更新後に利益確定 方

ビジネス

アングル:米中の関税停止延長、Xマス商戦の仕入れ間

ビジネス

訂正-午後3時のドルは147円後半でもみ合い、ボラ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 4
    【クイズ】2028年に完成予定...「世界で最も高いビル…
  • 5
    AIはもう「限界」なのか?――巨額投資の8割が失敗する…
  • 6
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 7
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 8
    「これからはインドだ!」は本当か?日本企業が知っ…
  • 9
    アラスカ首脳会談は「国辱」、トランプはまたプーチ…
  • 10
    広大な駐車場が一面、墓場に...ヨーロッパの山火事、…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 4
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 5
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 6
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 7
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 8
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 9
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 10
    「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) …
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中